ID番号 | : | 07082 |
事件名 | : | 賃金等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 安田病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 紹介所から派遣された付添婦と病院との間には実質的な使用従属関係があり、両者間に黙示による労働契約が成立しているとされた事例。; 病院の意に沿わない言動をすることを理由とする付添婦の解雇は解雇権の濫用に当たり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 民法623条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 成立 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1998年2月18日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成9年 (ネ) 544 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部却下、一部棄却 |
出典 | : | 労働判例744号63頁/労経速報1693号3頁 |
審級関係 | : | 上告審/07172/最高二小/平10. 9. 8/平成10年(オ)1118号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-成立〕 控訴人は、A紹介所に雇用され同紹介所からB病院に派遣された付添婦という形式がとられているものの、あくまでも形式だけのものであり、しかもA紹介所のオーナーであるC株式会社が人的構成や出資面で被控訴人から支配されているという関係にあり、結局のところB病院を経営する被控訴人の指揮、命令及び監督のもとにB病院に対して付添婦としての労務を提供し、B病院がこれを受領していたものと評価することができるから、B病院を経営する被控訴人との間に実質的な使用従属関係が存在していたものということができ、又、客観的に推認される控訴人と被控訴人の意思は、労働契約の締結を承諾をしていたものと解するのが相当であって、結局両者の間には黙示の労働契約の成立が認められるというべきである。したがって、控訴人は、平成四年三月にB病院の付添婦(職員)として採用され、被控訴人との間に労働契約を締結したものと認めるのが相当である。〔中略〕 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 〔解雇-解雇権の濫用〕 3 先に認定した事実によれば、被控訴人が控訴人を解雇したのは、患者が病院事務室を度々訪れることについて、被控訴人の問いに対する控訴人の返事が被控訴人の意に添うものでなかったことに立腹したことによるというだけのものであり、被控訴人のした解雇は著しく合理性を欠き、社会通念上相当なものとして是認することができず、解雇権の濫用として無効というべきである。 |