全 情 報

ID番号 07118
事件名 遺族補償費不支給処分取消等請求事件
いわゆる事件名 協栄産業・佐伯労基署長事件
争点
事案概要  虚血性心臓病、本態性高血圧の既往症を有する者がレッカー車を運転して帰宅後、心筋梗塞により死亡したケースで、遺族が遺族補償給付の不支給処分の取消しを求めた事例(請求棄却)。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項1号
労働者災害補償保険法12条の8第1項4号
労働基準法施行規則別表1の2第9号
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
裁判年月日 1998年4月20日
裁判所名 大分地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (行ウ) 9 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 タイムズ987号198頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 亡Aが従事していた業務は、いずれの期間においても、通常の勤務に就くことが期待されている労働者にとって、精神的、身体的に過重負荷であったとまでいうことはできず、同人に存した虚血性心疾患、冠状動脈の病変等の基礎疾病を、その自然的経過を超えて増悪させる危険性を有するものであったと認めることはできない。
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
 原告は、亡Aの高血圧症、狭心症等の既往症について、B会社やC会社が知り得る立場にあったのに、亡Aの作業環境の改善や作業負担の軽減等の措置をせず、そのことが右既往症の増悪による死亡の結果をもたらしたと主張する。
 しかし、労災補償の本質は、企業の危険責任に求められ、相当因果関係の有無は、企業に内在ないし随伴する危険が現実化したものかどうかという観点から決せられるべきものであり、使用者の知、不知ないし予見可能性といった主観的事情によって左右されるべきではなく、右事情は使用者の安全配慮義務違反の有無の問題として考慮すべきであり、労災保険制度における業務起因性の判断において考慮すべきではないから、原告の右主張は採用することができない。