ID番号 | : | 07120 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 株式会社ミック事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | クレーンオペレーターである原告に対し、原告が勤務していた客先の指示を守らず安全順守義務を怠ったこと、以前にも他の勤務地で同様の指摘を受けていたことを理由とする諭旨解雇処分につき、懲戒権の濫用に当たらず有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 民法1条3項 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 信用失墜 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 |
裁判年月日 | : | 1998年4月22日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成8年 (ワ) 542 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例746号53頁/労経速報1685号5頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-信用失墜〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 2 右事実によると、原告のA会社現場監督に対する対応は、就業規則(〈証拠略〉)二五条ロにいう「常に品位を保ち、会社の名誉を害し、信用を傷つけるようなこと」に該当し、また、原告がA型バリケードを倒しながら移動していった行為は、同条ロ及び同二四条ハにいう「機械・器具、その他の設備は大切に取扱い」の双方に違反する行為であり、就業規則三八条の懲戒事由に該当するといえる。〔中略〕 右事実によれば、原告は、B作業所における発言等により関係者、同僚の信頼を失い、これに対する処分として交替を命ぜられ、戒告処分を受けたのであるから、原告の行為は、就業規則二一条にいう「互いに協力してその職責を果たさなければならない」規定に違反し、同二五条ロにいう「会社の名誉を害し、信用を傷つけるようなこと」に該当するというべきである。〔中略〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 三 本件諭旨解雇が懲戒権の濫用となるかについて判断する。 前記一に認定した懲戒事由に前記二で認定した原告のこれまでの就業規則違反行為を併せて検討するに、原告の各行為はいずれも全く理由もなくなされたものではなく、そこに至った原告の心情は理解できないものでもない。 しかしながら、原告の行為は、いずれの場合も暴言等によって取引先や同僚に不快感を与えたというにとどまらず、関係者の協力を必要とする危険なクレーン作業においてチームワークを乱すものであり、事故を招来する原因となりうるものであって、放置できるものではない。原告は平成六年一月三一日に戒告処分を受けて以来、二度とこのような行為を繰り返さないようにと何度も注意され、原告自身も誓約しながら、C火力発電所事件を起こしたものであり、責任は重大である。また、被告の下請的作業受注者としての立場からすれば取引先に対する被告の信用を失わせるものであり、営業活動に与える影響も少なくない。 以上によれば、懲戒委員会の議を経てなされた原告に対する諭旨解雇処分は懲戒権を濫用したものとはいえず、被告のなした本件諭旨解雇は有効というべきである。 |