ID番号 | : | 07129 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 黒川乳業(本訴)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 乳製品等の製造販売等を業とする会社で製造業務に従事していた労働者が、病気欠勤を繰り返し、改善する兆しがなく、しかも病気欠勤制度を濫用して会社の秩序を乱したとして解雇され、地位確認等の請求を求めた事例(認容)。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法39条 労働基準法134条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 病気 年休(民事) / 年休取得と不利益取扱い 解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如 |
裁判年月日 | : | 1998年5月13日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成9年 (ワ) 3775 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | 労働判例740号25頁/労経速報1673号6頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-病気〕 (四) 原告は、病気欠勤した場合には、その初日に被告に病気欠勤をする旨の連絡をし、病気欠勤が四日以上にわたる場合には、被告に対し、医師の作成した診断書を提出した。 2 以上の事実によれば、原告の病気欠勤日数は、他の従業員に比して多かったものの、右病気欠勤のうちの長期欠勤の原因は、尿路結石、椎間板ヘルニア等、いずれも自己の健康管理では予防しきれない疾病で、原告が右各疾病に罹患したこと自体はやむを得ないものである。しかも右各疾病はいずれも一過性のものであって、原告は、現在、そのいずれからも完治したことが認められる。また、原告は、(三)(1)、(4)ないし(6)、(10)、(11)のとおり、いずれも風邪を理由として、公休日をはさむか、これに連続して短期の病気欠勤を取得したが、その頻度、合計日数をみるに、平成五年から平成八年までの約三年間に、六回、合計一一日間にすぎなかったことからすると、一般人に比して特に風邪に罹患した頻度が高かったともいえないし、風邪による病気欠勤日数も著しく多かったということはできない。 したがって、原告が身体虚弱で業務に耐えられないものであるということはできない。〔中略〕 右認定によれば、その休暇の取り方には、一部において、不自然さは免れないものの、原告が病気欠勤制度を濫用したとまでは断定できないし、原告は、病気欠勤の初日には病気欠勤する旨の連絡をし、長期の病気欠勤をする際には、医師の作成した診断書を提出したのであるから、被告は、これを前提に業務の段取りをつけることが可能であったというべきであって、原告が、右病気欠勤に起因して、被告の秩序を乱したとまではいえない。〔中略〕 〔年休-年休取得と不利益取扱い〕 年次有給休暇は、労働基準法三九条に規定された法律上の権利であるから、原告がこれを取得したとしても、それ自体に責められるべき点はなく、したがって、たとえ原告が年次有給休暇を取得したことによって被告の業務に著しい支障を来したとしても、これを理由として原告を解雇することはできないというべきである。 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕 被告と分会が労働基準法三六条に基づく時間外・休日労働協定(いわゆる三六協定)を締結したと認めるに足りる証拠はなく、(人証略)によれば、被告が原告に対して業務命令として休日の出勤を命じたことはなかったのであるから、右協力要請は、単に任意に協力を求めるという以上の意味を有しないので、原告がこれに応じる義務はなく、たとえ原告が右協力要請に従わなかったことにより被告の業務に著しい支障を来したとしても、これを理由として解雇することはできないというべきである。 |