ID番号 | : | 07132 |
事件名 | : | 通勤災害非該当認定処分取消請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金北海道支部長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 地方公務員が自動車によって帰宅途上、他の自動車と衝突して死亡したケースにつき、基礎疾病の原因による事故として通勤災害と認めなかった処分が取り消された事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法31条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 |
裁判年月日 | : | 1998年5月26日 |
裁判所名 | : | 札幌高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成9年 (行コ) 1 |
裁判結果 | : | 認容(確定) |
出典 | : | 労働判例745号61頁 |
審級関係 | : | 一審/06992/札幌地/平 9. 1.27/平成6年(行ウ)19号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 訴訟上の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実の存在を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである(最高裁判所平成九年二月二五日第三小法廷判決・裁判集民事一八一号三九五頁)ところ、以上に認定説示した点を総合すれば、他に本件事故以前にAに意識障害が生じたことを窺わせる確たる事情の認められない本件においては、Aは、通勤途上において遭遇した本件事故によって被った脳幹部損傷により死亡したものと認めるのが相当であり、これは通勤に通常伴う危険が具体化したものというべきであるから、Aの死亡について通勤起因性を認めるのが相当である。 したがって、Aの死亡が通勤に起因するものではないとして、通勤災害非該当と認定した本件処分は違法であり、控訴人の本件不許可処分の取消しを求める訴えは理由がある。 よって、右と結論を異にする原判決は相当でないから、これを取り消した上、控訴人の請求を認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条二項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。 |