ID番号 | : | 07146 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本紡績業厚生年金基金事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 厚生年金基金の理事に対する損害賠償請求につき、国家賠償法一条一項により理事個人は責任を負わないとされた事例。 |
参照法条 | : | 国家賠償法1条1項 厚生年金保険法119条 厚生年金保険法120条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金・退職年金と争訟 |
裁判年月日 | : | 1998年6月17日 |
裁判所名 | : | 大阪地堺支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成9年 (ワ) 288 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 労働判例751号55頁/労経速報1677号14頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 山田哲・賃金と社会保障1255号60~65頁1999年8月10日/小櫻純・インベストメント52巻1号4~14頁1999年2月/森戸英幸・社会保障判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト153〕90~91頁2000年3月 |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金・退職年金と争訟〕 したがって、本件基金の業務執行機関である理事長及び常務理事が、その職務として、解散に向けて積極的に行動することは、国家賠償法一条一項にいう、「公共団体の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行う」行為ということができる。 そうすると、被告らが本件基金の理事長及び常務理事としての職務を行うにつきされた行為(しなかった行為)については、仮に、本件基金の解散を促さなかったことが、被告らの故意又は過失による違法な行為であるとしても、公務員である被告ら個人は、原告らに対してその責任を負わないと解すべきである(最高裁昭和三〇年四月一九日第三小法廷判決・民集九巻五号五三四頁、最高裁昭和五三年一〇月二〇日第二小法廷判決・民集三二巻七号一三六七頁参照)。 したがって、被告らに、本件基金の解散を積極的に促す義務があるかどうか、そして、本件基金の解散を促さなかったことが不法行為に該当するかどうかを論じるまでもなく、原告らは、被告ら個人に対して、損害賠償を請求することはできない。 なお、原告らは、本件においては、被告ら個人に代わって損害賠償の主体となるべき本件基金が、すでに解散しているため、被告ら個人に対する賠償責任は認められるべきであるというが、基金は、解散しても直ちにすべての権利能力を失うわけではなく、財産関係の整理が済むまでは、一定の範囲においてなお権利能力者たる地位を持続するものであること(同法一四七条、厚生年金基金令四六条)、不法行為後の事情によって、責任の存否に影響を与えることは不合理であることなどからすれば、原告らの主張は理由がない。 |