ID番号 | : | 07153 |
事件名 | : | 損害賠償等・氏名札着用強制等差止等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 郵政省近幾郵政局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 氏名札の着用命令拒否に対する訓告、定期昇給号俸の減額を違法とする主張につき、氏名札の着用は、自己規律、職責の自覚や職員相互間の連帯感の醸成などの効果を上げるための方法であり、着用命令は局長の合理的裁量の範囲内にあるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1998年7月14日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成8年 (行コ) 31 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 労働判例751号46頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 控訴人らは、利用者の信頼を獲得しより一層のサービスの向上を図るという目的については、外勤者と内勤者のうち職務として直接利用者と接する職員についてのみ、抽象的ではあるとはいえ適合性があるが、それ以外の内勤者については適合性がないとか、自己規律、職責の自覚や職員相互間の連体感の醸成、職場秩序の維持という目的については、目的が漠然としており、右目的と氏名札の着用との客観的かつ合理的関連性を証明することができず、ましてや必然的関連性があるとはいえないとか、いわば対外的効果の面においては、窓口で利用者に対応する際に、机上窓口表示板に担当者名を掲示したり、あるいは担当者の名刺を手渡すことによりその氏名を明らかにする方法の方が効果的であるとか主張する。しかし、氏名札の着用は、自己規律、職責の自覚や職員相互間の連帯感の醸成、職場秩序の維持といった効果を上げるための一つの方法と観念することができ、相応の効果を期待することができるというべきであり(郵便局内で、横領、詐欺等の不祥事が発生している例があるとしても、氏名札の着用による右秩序維持等の効果を否定することはできない。)、このようないわば対内的効果がある以上、職務として直接利用者と接する職員か否かにかかわらず一律に氏名札の着用を求めても被控訴人局長らの合理的裁量の範囲内であるということができる。また、窓口で利用者に対応する際に、机上窓口表示板に担当者氏名を掲示したり、あるいは担当者の名刺を手渡すことによりその氏名を明らかにする方法も考えられる一つの方法ではあるが、窓口以外で利用者に応対する場合もあること、机上表示板で表示したのでは、利用者が気付かない場合もあり、氏名札の着用の方が効果的であるとも考えられること、利用者全員にその都度名刺を手渡すのは困難であることからすれば、いわば対外的な効果の面において氏名札の着用を採用したことは、被控訴人局長らの合理的裁量の範囲内であるということができる。 |