ID番号 | : | 07157 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 札幌市事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 地方公務員法所定の五年間の組合専従期間を超えた専従者に対する給与等の支払に対する監査請求による住民訴訟が適法とされた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員法55条の2 地方自治法242条2項ただし書 国家賠償法1条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 争議行為・組合活動と賃金請求権 |
裁判年月日 | : | 1998年7月17日 |
裁判所名 | : | 札幌地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成9年 (行ウ) 24 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部却下、一部棄却 |
出典 | : | 労働判例750号69頁/判例地方自治186号10頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金請求権の発生-争議行為・組合活動と賃金請求権〕 二 争点2(給与の支出に関する訴えの適法性)について判断する。 1 地方自治法二四二条の二第一項本文は、普通地方公共団体の住民が、同法二四二条一項により住民監査請求をした場合において、その監査の結果に不服のあるときなど、同法二四二条の二第一項本文所定のときに限り、裁判所に対する訴えをもって同項各号所定の請求をすることを認めているのであるから、適法な住民監査請求を経ていないものについては、同項による住民訴訟は提起することが許されないものと解される。 2 そこで、本件において、本件市長部局職員に対する給与の支出について、適法な住民監査請求を経ているか検討するに、(証拠略)によれば、原告が当初監査委員に提出した請求書及び後に補正して提出した請求書のいずれにも、欠勤職員に関する負担金の支出について監査及び当該支出により生じた損害の賠償を請求する旨が記載されているにとどまり、欠勤職員に対する給与の支出については監査及び当該支出により生じた損害の賠償を請求する旨の直接の記載は存在しない。しかし、右各請求書には、「公務員の長期欠勤の法的根拠と、長期欠勤職員の給与等、公金からの支出の有無について調べ」たところ、「欠勤期間中の給与は労働組合が負担し」ていることが明らかになったことを前提として、負担金相当額の返還を請求する旨記載されており、欠勤期間中の給与を職員団体又は労働組合でなく札幌市において負担している場合には、当然給与についても監査請求をする趣旨を読みとることができるところ、原告は、本件市長部局職員に対する給与の支出に関し、平成九年六月一〇日に行った監査委員に対する口頭での陳述において、「給料が札幌市から一円たりとも支払われていないのかどうかを監査委員の責任において調べていただきたい」と述べているのであって(〈証拠略〉)、右陳述をも考慮すると、原告は、前記各請求書により、給与についても住民監査請求をしているというべきである。 3 以上のとおり、本件訴えのうち、本件市長部局職員に対して支出した給与相当額及びこれに対する遅延損害金の損害賠償を求める部分は、地方自治法二四二条一項の住民監査請求を経ており適法であると認められる。 |