ID番号 | : | 07197 |
事件名 | : | 未払賃金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 徳島南海タクシー(割増賃金)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー会社の運転手として勤務している一五名が、労基法三七条に定める時間外・深夜割増賃金につき未払いがあるとしてその支払と同額の付加金を求めたケースで、協定書の定める超勤深夜手当が割増賃金を含むとの明確な合意があったとはいえないとして、その請求が一部認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法37条 労働基準法114条 労働基準法115条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定方法 雑則(民事) / 時効 雑則(民事) / 附加金 |
裁判年月日 | : | 1995年9月29日 |
裁判所名 | : | 徳島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 348 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例775号27頁 |
審級関係 | : | 上告審/最高三小/平11.12.14/平成11年(オ)1461号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定方法〕 被告は、本件協定書の定める超勤深夜手当は、その金額が明確であり、その他の支給部分との対比も可能であると主張するが、本件協定書の賃金体系を被告にとって最も有利に解釈し、乗務手当、皆精勤手当が法定時間内労働と時間外労働とに按分されるとしても、基本給八万五〇〇〇円を月間の法定内労働時間二〇八時間で割った一時間当たりの賃金に、本件協定書の定める法定外労働時間一〇四時間(日勤勤務者、二交替勤務者とも同時間となる)を乗じ、さらに二割五分の割増賃金を加えると五万三一二五円となるべきところ、超勤深夜手当はこれを下回る五万六〇〇円にすぎない。昭和六三年三月一九日付け協定書により、基本給が七万九七〇〇円に減額されたが、この場合も同様の計算をすると、二割五分の割増賃金を加えた時間外労働に対する賃金は約四万九八一二円となるが、超勤深夜手当はこれを下回る四万六三〇〇円にすぎない。このように労働者に不利な条項を定める場合、労使間で突っ込んだ議論がなされるべきものと考えるが、前記のとおりその形跡が窺われないことからしても、本件協定書の定める超勤深夜手当が割増賃金を含むものであるとの明確な合意が、被告会社と原告らとの間でなされたものとは断じ難い。〔中略〕 被告会社と原告らとの間で、労働基準法三七条の規定する割増賃金を含むものとして超勤深夜手当の合意がなされたものと認めることはできず、割増賃金部分が他の給与部分と判別可能なものともいえないから、被告の抗弁は理由がない。 〔雑則-時効〕 被告主張の消滅時効の抗弁事実は、原告らにおいて明らかにこれを争わないから、自白したものとみなす。そうすると、原告らの平成三年八月分以前の割増賃金債権は、右時効により消滅したものである。〔中略〕 〔雑則-附加金〕 右各割増賃金の不払期間、平成元年に原告らが被告にその支払を求めて以降の両者間における交渉の経過など、本件証拠上認められる諸般の事情を考慮するとき、労働基準法一一四条に従って、被告が、原告らに対し、それぞれ右の各未払割増賃金と同額の付加金を支払うよう命ずるのが相当である。 |