ID番号 | : | 07275 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | ロイター・ジャパン事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | トランスレーターとして、雇用期間を一年として採用された契約社員に対する更新拒否の通知につき、本件契約を期間の定めのない雇用契約とみることはできず、原告に契約更新を期待するだけの合理的理由はなく、期間満了により雇用契約は終了したとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1999年1月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成7年 (ワ) 13077 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例760号54頁/労経速報1699号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 正社員の採用を予定し、原告を含めて七名のトランスレーターを採用した被告が、六名については正社員としての雇用契約書(通知書)を作成し、一人原告との間でのみ期限付きの雇用契約書(通知書)を作成したこと、そもそも被告においては、正社員がほとんどで契約社員の例は極めて少ないことなどに照らせば、被告にとって、契約社員として原告を採用するのは異例のことであったというべきで、したがって、通知書(〈証拠略〉)の期間の定めを形式的なものとする認識は全くなく、文字通り期限付きの雇用契約を締結する意思で、右通知書を作成したものということができる。そして、原告においても、Aの発言から期間満了後も契約の更新や正社員への採用があるとしても無条件ではないことを認識し、その上で前記のとおり、通知書に署名していること、さらに前記のとおり、Bから中間パフォーマンス・レビューの結果の説明を受ける際、原告の雇用期間が一年である旨説明されて異議を述べていないことなどに照らせば、原告としても自分が期限付きの契約社員であることを認識していたというべきである。 3 右によれば、本件雇用契約は、期限付きの契約というほかなく、他に原告の主張を認めるに足りる証拠もないから、原告の主張は採用できない。〔中略〕 二 本件雇用契約の更新拒絶あるいは期間満了後正社員として採用しないことは信義則上許されないか 1 期限付き雇用契約の更新拒絶等が信義則上許されないのは、当該雇用契約について、労働者に契約更新を期待する合理的理由がある場合であることは確立した判例であり、当該労働者の期待が合理的かどうかは、当該雇用契約時の状況、就業実態や待遇、契約更新の手続等の事情を総合的に考慮して決すべきものと解せられるところであるので、以下この点について検討する。 原告が、その主張の根拠の一つとする前記Aの発言であるが、その発言が契約更新あるいは正社員への採用の可能性もあるという程度の趣旨に止まることは前記認定のとおりであり、右発言から原告が何らかの期待を抱いたとしても、それは主観的なものにすぎないというほかなく、右期待に合理的理由があるということはできない。 |