ID番号 | : | 07314 |
事件名 | : | 従業員地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪名鉄観光バス(本訴)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 訴外A労組に所属していた原告ら六名の者が、A労組を脱退して同一企業内のB組合に加入したところ、会社からA労組と会社が締結していたユニオン・ショップ協定に基づいて解雇され、その効力を争ったケースで、右ユ・シ協定に基づく解雇は客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認できないとして無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民法90条 労働組合法16条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇 |
裁判年月日 | : | 1999年3月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成10年 (ワ) 14000 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部却下(控訴) |
出典 | : | 労働判例772号76頁/労経速報1705号20頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-ユニオンショップ協定と解雇〕 ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきであるから、ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条の規定により無効と解すべきである(最高裁判所平成元年一二月一四日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二〇五一頁参照)。 これを本件についてみるに、本件ユニオン・ショップ協定は、「会社の従業員は、第四条に該当する者を除き、この組合の組合員とならなければならない。従って、組合に加入しない者または、脱退した者は会社が解雇する。」と定めているけれども、右に述べたところからすれば、締結組合から脱退したが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者については、使用者の解雇義務は生じないというべきである。〔中略〕 ユニオン・ショップ協定に基づく解雇義務が生じていないのにされた解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することはできず、解雇権の濫用として無効と解すべきである(最高裁判所昭和五〇年四月二五日第二小法廷判決・民集二九巻四号四五六頁参照)。 これを本件についてみるに、本件解雇が、原告ら六名がA労組を脱退したことを理由に本件ユニオン・ショップ協定に基づいてなされたものであり、それ以外の解雇事由に基づく普通解雇もしくは懲戒解雇ではないことは当事者間に争いがないところ、前述のとおり、別組合に加入した原告らについては、本件ユニオン・ショップ協定による解雇義務は生じていないから、本件解雇は、被告に解雇義務が生じていないのになされたものであり、解雇権の濫用として無効である。 |