ID番号 | : | 07356 |
事件名 | : | 労働契約に基づく地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 北海道龍谷学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 脳卒中で倒れて半身不随になり入院治療を受けていた私立高校の保健体育の教師が、就業規則に定める解雇事由の「身体の障害により業務に堪えられないとき」に該当するとして解雇され、その解雇の効力を争ったケースで、右解雇は解雇権の濫用に当たらないとして、教師側の請求を認容していた原判決を取り消した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 病気 |
裁判年月日 | : | 1999年7月9日 |
裁判所名 | : | 札幌高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成10年 (ネ) 172 |
裁判結果 | : | 認容(上告) |
出典 | : | 労働判例764号17頁 |
審級関係 | : | 一審/07100/札幌地小樽支/平10. 3.24/平成7年(ワ)150号 |
評釈論文 | : | 鶴崎新一郎・法政研究〔九州大学〕66巻4号485~495頁2000年3月 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-病気〕 被控訴人の身体能力等は、体育の実技の指導・緊急時の対処能力及び口頭による教育・指導の場面等において控訴人高校における保健体育の教員としての身体的資質・能力水準に達していなかったものであるから、控訴人高校での保健体育教員としての業務に堪えられないものと認めざるを得ない。〔中略〕 本件においては、被控訴人がその「身体の障害」によって控訴人の就業規則一〇条一号所定の「業務に堪えられない」と認められるかどうかが争点であって、被控訴人が主張するような補助や教育的効果に対する期待(ただし、現実問題としてこれらが常に随伴するとは考えがたい。)がなければ、被控訴人が教員としての業務を全うすることができないのであれば、被控訴人は身体の障害により業務に堪えられないもの、すなわち同規則の同条項に該当するものであることを肯定するに等しいものというべきである。 また、被控訴人は、公民、地理歴史の教諭資格を取得したから同科目の業務に従事することができると主張するが、被控訴人は保健体育の教諭資格者として控訴人に雇用されたのであるから、雇傭契約上保健体育の教諭としての労務に従事する債務を負担したものである。したがって、就業規則の適用上被控訴人の「業務」は保健体育の教諭としての労務をいうものであり、公民、地理歴史の教諭としての業務の可否を論ずる余地はないというべきである。 |