ID番号 | : | 07378 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分命令申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪医科大学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 大学付属病院の栄養士として勤務していた者が、指示されたとおりの出勤・就労を行わず、懲戒の警告を受けていたにもかかわらず、あえてこれを無視したことなどを理由に懲戒解雇され、地位保全等の仮処分を申し立てたケースで、解雇理由は相当であり、情状も重いとして申立てが却下された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1999年9月3日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成10年 (ヨ) 3836 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1715号8頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 債務者が債権者に命じたのは単なる調理や下処理のみではなく、調理現場の衛生管理や給食の最終点検などの指導監督業務であり、これらに加えて、調理や下処理をも命じたからといって、栄養士として業務に反することにはならない。現に、債権者自身、以前から特別食や小児食担当時等には調理盛付等の業務にも従事してきている。また、一般食にも昭和五四年以降は栄養士が配備されてきたことは前記認定のとおりである。 労働者にいかなる業務を命じるかは当該雇用契約の趣旨に反しない範囲内で、使用者に裁量が認められるものと解されるところ、右認定のとおり、債権者が調乳業務を担当していた期間にミルクに異物が混入するなど調乳に関する問題が生じていたことや、常食に専属させる栄養士が不足していたことなどが認められるのであるから、債務者が債権者の業務を調乳から常食に変更したことに必要性や合理性がなかったとはいえない。〔中略〕 右認定事実によれば、債務者が本件解雇通知に解雇事由として記載した事実はいずれもこれを認めることができ、債権者が長期間にわたって、債務者の業務命令に従おうとせず、自分勝手な就労を続けるなどしたことは明らかに職場の秩序を著しく乱すものであって、これらの債権者の行為は本件解雇通知に掲記された前記就業規則の各条項に該当するというべきである。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕 また、債権者は、懲戒委員会の根拠が不明であり、開催の事実が疑わしく、債権者に弁明の機会が保障されていないなどと主張するが、懲戒委員会の根拠は右認定のとおり、就業規則に明記されているし、出席者や協議経過が記載されているし、出席者や協議経過が記載された議事録(書証略)が存することからしても開催の事実は明らかであり、懲戒処分は事前に警告され、これに応じて債権者は弁明の書面を提出しており、弁明の機会も十分与えられていたと解され、その手続にも違法は認められない。 |