ID番号 | : | 07388 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分事件 |
いわゆる事件名 | : | シンガポール・デベロップメント銀行事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 外資系の銀行の大阪支店の閉鎖に際して、会社の提案した希望退職のパッケージに応じなかったことを理由に解雇された従業員が、解雇は無効であるとして地位保全の仮処分を申し立てたケースで、解雇に際して解雇回避のための努力を行ったとまで認められないとして無効とされ、申立てが認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の回避努力義務 |
裁判年月日 | : | 1999年9月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成11年 (ヨ) 10060 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部却下 |
出典 | : | 労経速報1715号17頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-整理解雇-整理解雇の回避努力義務〕 解雇が、被雇用者の生活に直接重大な影響を与えるものであることから、雇用者である債務者には、信義則上、人員削減をするに際しては、配転や希望退職の募集などの他の手段による解雇回避の努力をする義務があるとするのが相当である。 本件解雇に際して、債務者がとった措置は、大阪支店の従業員に対してのみ希望退職パッケージを提案し、希望退職を募ったというものである。 大阪支店の従業員六名中四名が希望退職パッケージに応じたため、整理解雇の対象となったのは、債権者ら二名のみであった。債権者らはいずれも大阪支店で採用された者であるが、債務者の就業規則上転勤を命ずる旨の規定があり、雇用契約書上も就業規則に従うことと記載されていること(書証略)、債権者らはいずれも東京支店への転勤を希望していたことからすれば、債務者が債権者らに対し東京支店への転勤を命ずることは可能であった。また実際上、大阪支店の業務は東京支店へ移管されており、債権者らには、債務者の業務に関して幅広い業務経験があることから、東京支店においても十分に業務に従事しえたものであって(書証略)、前述のとおりAも債権者らに対し、「部署は作ろうと思えば作れる」と述べていた。それにもかかわらず、債務者は大阪支店閉鎖決定後、転勤不可との態度に終始していたものである。債務者は、平成六年以降少なくとも平成一〇年までは、数名単位の新規採用を行っており、また本件解雇に先だって東京支店で希望退職を募ってはいない。以上の諸事情を考慮すれば、債務者が、本件解雇に際して、解雇回避のための真摯かつ合理的な努力を行ったとまでは認められない。 |