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ID番号 07411
事件名 不当労働行為救済命令取消請求上告事件
いわゆる事件名 富里商事(救済命令)事件
争点
事案概要  航空会社の子会社でホテル等を経営する会社Xが、労働組合が結成された後、労使間で多くの紛争が多発する中で、組合の闘争委員Aが上司等に対し営業中のホテル構内等で暴力行為を行ったとして、同人を解雇したところ、組合から救済命令申立てされた中央労働委員会Yが、本件解雇は不当労働行為に該当するとして、Aの解雇取消しと原職復帰、バックペイ、文書手交、ポスト・ノーティスを命じた初審命令を維持したことから、右命令の取消しを請求したケースの上告審で、本件解雇は主としてAが闘争委員ないし組合員であったことを嫌悪し、あるいは組合の弱体化を図る意図に基づいてなされたものとはいえないとして、本件命令を取り消した原審の判断が相当であるとして、Yの上告が棄却された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
労働組合法7条1号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
裁判年月日 1998年7月14日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (行ツ) 101 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働判例757号27頁
審級関係 控訴審/06483/東京高/平 6. 2.17/平成3年(行コ)74号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認するに足り、右事実関係の下においては、本件解雇が不当労働行為に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。〔中略〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 裁判官元原利文の補足意見は、次のとおりである。〔中略〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 上告人と上告補助参加人らの上告理由は、経験則違反、理由齟齬、理由不備、判断遺脱等をいうのであるが、帰するところ、原審の事実認定の誤りを指摘するものと理解される。そこで記録を精査したところ、なるほど、所論のいうように、上告補助参加人Aの解雇当時、被上告人が、上告補助参加人組合に対して不当労働行為と認定される行為を繰り返し、地方労働委員会の救済命令が多数発令され、これが再審査申立て及びその取消訴訟を経て確定しており、本件解雇はそのような状況の下で行われたものであること、解雇理由とされた上告補助参加人Aの行為のうちの一つである傷害の点については刑事事件において無罪が確定していることなどが認められ、上告人及び上告補助参加人らの主張に沿う証拠も存在するところであるが、他方、原審の認定に沿う証拠も存在するものと認められるので、そのいずれを採るかは、原審の専権に属する事実認定の問題に帰着するものといわざるを得ない。そして、その認定、判断の過程において、上告理由のいう経験則違反等が存するとまで認めるには至らなかった次第である。