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ID番号 07432
事件名 保険金引渡請求控訴、同附帯控訴事件
いわゆる事件名 秋田運輸事件
争点
事案概要  運輸会社Yに自動車運転手として勤務していたAの妻子Xら三名が、Yは自動車保険契約のほか、全従業員を被保険者としてYを保険金受取人とする団体定期保険契約を保険会社と締結していたところ、勤務中の追突事故によるAの死亡により、右契約に基づいて保険金を受領したことから、右保険金の引渡しを請求したケースの控訴審で、(1)自動車保険については、自動車保険普通保険約款によれば自損事故保険金は被保険自動車の運転者の相続人に支払うこととされていることから、右保険金はXに帰属するとし、(2)団体定期保険については、YはAに対し右保険金をもって見舞金ないし弔慰金を支払う旨を約束していたと解するのが相当であり、右保険金引渡しの合意があったとして、Xらに支払われるべき額は右保険金のうち三分の一に当たる額を相当額としたうえで、Yの対物損害賠償金残額等の求償権行使については、信義則相当な範囲に制限して三割五分とし、(1)の引渡請求権と対等額で相殺することが相当であるとして、一審判決が支持されたが、団体保険契約に基づく保険金については、会社での勤続年数、給与、企業弔慰金の支給基準、会社の弔慰金規程に加えて弔慰金の付加目的等を考慮して、一審の認容額が増額変更され、Xらの控訴が一部認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号の2
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 団体生命保険
裁判年月日 1999年5月31日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 平成10年 (ネ) 856 
平成10年 (ネ) 992 
裁判結果 一部変更、一部棄却(確定)
出典 金融商事1069号35頁/労働判例764号20頁
審級関係 一審/07176/名古屋地/平10. 9.16/平成4年(ワ)428号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-団体生命保険〕
 本件団体定期保険の保険料月額三〇〇〇円中、Aが一〇〇〇円を負担していたところ、証拠(〈証拠略〉)によれば、保険契約者が被控訴人であったこともあり、Aは所得税法上の生命保険料控除を受けることはできず、他方被控訴人はその負担保険料を経費として計上したうえ、B会社から右月額三〇〇〇円の掛金に対する配当金を受領していることが認められることに照らすと、右保険金額合計二〇〇〇万円のうち、少なくとも右掛金の負担割合である三分の一強に相当する七〇〇万円は、まずAの遺族に支払われるべきものであることが明らかであり、(二)更に右額を控除した保険金の残一三〇〇万円については、Aの被控訴人における運転手としての稼働年数が約七年であること、同人の昭和六二年度の年間給与及び賞与等の総額が四五三万九〇〇〇円であること(〈証拠略〉)、また企業における弔慰金のおよその支給水準(〈証拠略〉)及び前記被控訴人における弔慰金規定などに、弔慰金支給の付保目的を併せ考慮するときは、本件においては、右保険金一三〇〇万円の二分の一に当る(ママ)六五〇万円を下らぬ額がAの遺族である控訴人らに支払われるのが相当であると認められ、右判断を左右するに足りる証拠はない。」