全 情 報

ID番号 07473
事件名 解雇無効確認等請求事件、貸金請求事件
いわゆる事件名 かどや製油事件
争点
事案概要  会社Yの販売部販売統括室に所属していた従業員X1が、出勤しても一日の大半において上司に届け出ることもなく職場の自席を離れて連絡がとれない状態で会社の業務を遂行せず、約四年半にわたり虚偽の住所をYに届け出て通勤手当の支給を受け、約二三一万円不正利得していたことが就業規則の懲戒解雇事由に該当するとして、懲戒解雇されたことから、(1)X1がYに対し、解雇権濫用等により解雇無効として、労働契約上の地位確認及び賃金支払を請求した(甲事件)のに対し、(2)YがX1及び連帯保証人X2に対して、X1が従業員としての地位を喪失したことにより弁済期が到来したとして、消費貸借契約に基づく貸付金の返済を、X1に対して右通勤手当に関する不当利得返還を請求した(乙事件)ケースで、(1)については、X1の行為はいずれも就業規則の懲戒解雇事由に該当し、更にX1の不誠実な勤務態度や行為を理由とする本件懲戒解雇は懲戒権又は解雇権の濫用には当たらず有効として、請求が棄却されたが、(2)については、貸付金・不当利得返還請求と先払の通勤手当の返還請求が認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職場離脱
裁判年月日 1999年11月30日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成8年 (ワ) 19248 
平成9年 (ワ) 6767 
裁判結果 棄却(6767号)、一部認容、一部棄却(控訴)
出典 労働判例777号36頁/労経速報1725号16頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職場離脱〕
 原告X1は、平成八年五月二二日から同年七月二五日までの間、出勤しても一日の大半は上司に届け出ることなく職場の自席を離れて連絡が取れない状態になってしまい、その間被告会社の業務を遂行しなかったことが認められ〔中略〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職場離脱〕
 右認定によれば、原告X1は被告会社の業務遂行をほとんど放棄していたに等しく、その不誠実な勤務態度は被告会社の就業規則七二条二号に該当する。〔中略〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 原告X1は、平成四年三月から平成八年八月六日に本件懲戒解雇をされるまでの間、終始東京都品川区(略)に居住しながら、被告会社に対しては、平成四年三月二〇日に宇都宮市(略)に転入した旨の住民票を提出して転居の届出をし、この住民票上の住所と被告会社の所在地(東京都品川区(略))との間の通勤手当の請求をし、前記のとおり、平成四年三月から平成八年九月分まで合計金二七一万一三六四円を受領したことを推認することができる。〔中略〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職場離脱〕
 1及び2の事実によれば、その余の抗弁について判断するまでもなく、被告会社は本件懲戒解雇を行うに足りる十分な根拠があるものというべきである。