全 情 報

ID番号 07502
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 アサツーディ・ケイ事件
争点
事案概要  期間を一年とする技術契約社員として雇用され、以後更新を重ねて一四年間勤務した後、一般社員となり定年退職した(一三年七か月勤務)元従業員が、会社から支払われた退職金手当金については一般社員以降の勤務年数をもとに計算された額が支払われ、また退職年金については、支払要件である勤続年数二五年に満たないとして支給されなかったことから、就業規則の規定及び会社との合意に基づいて、退職手当金は技術契約社員としての入社時にさかのぼって勤続年数を数えて計算したものが支払われるべきであり、また退職金の支払がなされていないとして、未払退職金の支払、損害賠償の支払を請求したケースで、退職金規定上は、支払の基礎となる勤続年数は一般社員として勤続した一三年七か月であり、技術契約社員としての入社時にさかのぼって勤続年数を算定する合意も成立しておらず、退職金の未払はないとして請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法89条1項3号の2
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 2000年1月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (ワ) 7467 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1729号19頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 技術契約社員から一般社員に登用された社員について一般社員として退職手当金及び退職年金を支給するに当たって技術契約社員としての勤続年数を一般社員としての勤続年数に加算するかどうかは被告が企業経営上の観点から自ら決すべきことであるが、そもそも第一企画においては技術契約社員には退職手当金及び退職年金を支給しないという取扱いをしてきたこと(前記第三の一1)、給与規程(書証略)には技術契約社員から一般社員になった者の退職手当金の算定に当たって一般社員の勤続年数に技術契約社員の勤続年数を加算することを定めた規定は見当たらず、退職年金規程(書証略)には技術契約社員から一般社員になった者の退職年金の支給に当たって一般社員の勤続年数に技術契約社員の勤続年数を加算することを定めた規定は見当たらないこと(前記第三の一1(一))からすれば、被告は技術契約社員から一般社員に登用された社員について一般社員として退職手当金及び退職年金を支給するに当たって技術契約社員としての勤続年数を一般社員としての勤続年数に加算しないこととしたものというべきである。〔中略〕
〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 そうすると、一般社員としての勤続年数が一三年七月しかない原告については、原告の主張に係る本件合意の成立が認められない限りは、退職手当金の算定において勤続年数は一三年七月ということになり、退職年金は支給されないことになる。