ID番号 | : | 07560 |
事件名 | : | 労働契約関係存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日立自動車交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 夜間日直勤務のブルーラインタクシーの乗務に従事する労働者Xが、会社Yからブルーラインタクシーの廃止により隔日勤務へ就くよう求められたが、これを拒否し、その後、持病の手術のために有給休暇を取得していたところ、隔日勤務を命じる文書が郵送されたが、これも拒否し、その後も、XはYからの呼出しや給与の受取り等のため以外は出社せず、隔日勤務にも従事しなかったことから、Yは診断書又は休職願等を提出しなければ、就業規則に基づき無断欠勤として扱う旨の勧告をしたところ、Xは入院したため、その診断書をYに提出したが、退院の四日後に、就業規則(休職期間を経過し、なお復職できないときには退職せしめる旨の内容)の規定に基づき自然退職扱いとされたため、(1)本件退職は、実質的には解雇であり、労働基準法一九条一項に違反し、又は(2)解雇権の濫用に当たるとして、雇用契約上の地位確認、賃金支払及び慰謝料の支払を請求したケースで、勤務変更命令はその必要性が高く、Xが拒否する正当な理由もないことから、Xは無断欠勤と評価されてもやむをえないとし、就業規則に従って、Xを休職扱いとし、その後自然退職取扱いとした本件退職は有効であるとして、Xの請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項3号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 休職 / 休職の終了・満了 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 2000年5月19日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成11年 (ワ) 2048 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1744号24頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔休職-休職の終了・満了〕 原告の無断欠勤が一か月継続した後、就業規則二九条に従って原告を休職扱いとし、就業規則三〇条ロ号に規定する五か月を経過した平成一〇年五月一五日に就業規則三四条ハ号により原告を自然退職扱いとした本件退職は有効であるというべきである(なお、仮に、原告の有給休暇が平成九年一一月一九日ないし二〇日までであったとすると、本件退職は就業規則上の期間を充足しないことになるが、仮にそうであったとしても、直ちに違法であると解すべきでなく、本件において、原告は、被告に対し、平成一〇年五月二八日付け文書(書証略)でも、隔日勤務に就くことを拒否する旨記載していることからすると、同月一五日以降も原告が隔日勤務に就かないことは明らかであったということができるから、遅くとも平成一〇年五月二〇日には、就業規則所定の期間を充たし、自然退職扱いの効力が発生したものというべきであり、本件退職の効力発生時期は平成一〇年五月二〇日となるものの、本件退職自体は有効であるというべきである)。 〔解雇-解雇権の濫用〕 原告は、本件退職は実質的な解雇であり、かつ解雇権の濫用に当たると主張する。 原告は、既に述べたように被告の隔日勤務の命令に従わず、無断欠勤を続けたのであり、その期間は平成九年一一月一五日から本件退職まで六か月に及ぶものであったこと、被告の就業規則三六条、八八条によれば、一四日以上無断欠勤し、督促しても出勤しないことが解雇事由に該当することは明白であり、本件退職が解雇であるかどうかはともかく、仮に解雇であったとしても、解雇権の濫用を認めることはできないから、原告の主張は理由がない。 |