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ID番号 07574
事件名 損害賠償請求上告事件、上告受理申立事件、附帯上告受理申立事件
いわゆる事件名 東加古川幼稚園事件
争点
事案概要  保育所等を経営する会社Yが設置運営する幼稚園に保母として勤務していたが、その約三か月後に心身症で一日入院した日に退職し、自宅療養後その約一か月後に自殺したA(当時二一歳)の両親Xらが、幼稚園でのAの勤務は、園児の数に対して保母の数が少ないうえ、給食の食材の購入や調理の仕事も兼ね、労働時間は一〇時間ないし一一時間に及び、日曜出勤も多かったこと、また途中で就業場所等の移動や新しい仕事等により精神的、肉体的にも疲労していたこと、Yでは勤務条件が劣悪で保母の定着率が極めて悪かったと考えられることから、Y及びその代表取締役(理事)、取締役(副園長)、社員(園長)に対し不法行為及び債務(安全配慮義務)不履行(控訴審で追加)に基づく損害賠償請求したケースの上告審で、一審ではXの請求が棄却されていたが、Aは、Yの過酷な勤務条件がもとで精神的重圧からうつ状態に陥り、その結果、園児や同僚保母に迷惑をかけているとの責任感の強さや自責の念からついには自殺に及んだものと推認することができ、Yは従業員であるAの仕事の内容につき通常なすべき配慮を欠き、その結果、Aの自殺を招いたものといえるから、債務不履行(安全配慮義務不履行)による損害賠償責任を負うものというべきであるとし、その賠償額については、Aがうつ状態に陥って自殺するに至ったのは、多分にAの性格や心因的要素によるところが大きいものとして、その八割を減額し、二割について認めるのが相当であるとした原審の判断(不法行為責任に関しては、代表取締役ら三名については、責任を認めるに足る証拠なし、またYについては判断するまでもないとして、請求を棄却)が相当であるとして、Yの上告が棄却、上告受理申立てが不受理決定され、またXの附帯上告受理申立については効力を失うとされた事例。
参照法条 民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 2000年6月27日
裁判所名 最高三小
裁判形式 決定
事件番号 平成10年 (受) 503 
平成10年 (受) 504 
平成10年 (オ) 2012 
裁判結果 棄却(2012号)、不受理(503号)、失効(504号)
出典 労働判例795号13頁
審級関係 控訴審/07168/大阪高/平10. 8.27/平成9年(ネ)1625号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法三一二条一項又は二項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに右各項に規定する事由に該当しない。