全 情 報

ID番号 07611
事件名 地位保全仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 雪印ビジネスサービス事件
争点
事案概要  会社Yとの間で期間を一年とする雇用契約の更新を繰り返しながら清掃業務に従事してきた労働者X1(パートタイマーとして期間の定めのない契約の下で一五年勤務後、期間の定めのある契約を約し本件更新拒絶まで七回更新で当時六七歳)及びX2(本件更新拒絶まで六回更新し当時六八歳)が、Yでは、約四年前から作業能率向上、労災事故の減少を目的として六〇歳以上の従業員を順次減少させる方針を実施していたところ、右方針に基づいてYから契約更新しない旨の申入れがなされたが、これを拒否し、X1ら所属の労組が団体交渉した結果、一年に限り再更新されることになったものの(その後の更新については合意に至らなかった)、右期間満了によりYはX1らを従業員として認めない対応をとったため、本件更新拒否は無効であるとして、雇用契約上の地位の確認及び賃金支払を求める仮処分を申し立てたケースで、X1らの雇用契約はいずれも期間の定めのある雇用契約であり、更新手続は形骸化しているとはいえないこと、諸事情に鑑みると、雇用の継続を期待できる合理性があったとはいえないことから、解雇法理の適用はなく雇用契約は期間満了により終了しているとして、請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法14条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2000年9月27日
裁判所名 浦和地川越支
裁判形式 決定
事件番号 平成12年 (ヨ) 59 
裁判結果 却下
出典 労経速報1749号10頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 右認定事実によれば、
 1 債権者らの雇用契約がいずれも期間の定めのある雇用契約であることは明らかというべきである。
 2 債権者らは、「債権者らが期間満了後の雇用の継続を期待できることに合理性が認められる」旨主張する。
 しかし、〔1〕前記認定のとおり、債権者らの雇用契約がいずれも期間の定めのある雇用契約であり、その更新手続が形骸化していることはいえないこと、〔2〕債務者が、平成七年ころから、六〇歳以上の従業員を順次減少させる人事方針を採っていたことは明らかであり(右人事方針は、作業の能率を上げ、労災事故などを減少させるためのものであって、不合理なものとは認められない)、その政策が徐々に実施されていたこと、〔3〕債務者において、債権者らの雇用契約につき平成一一年三月二〇日時点で一旦更新拒絶を決定したものの、一般労組との交渉の過程で円満解決のために、前記更新拒絶を撤回し、平成一二年三月二〇日まで一年間の期間の定めのある雇用契約を締結し、その際、同月二一日以降の雇用契約の更新はしない旨通告していることなどの事情にかんがみると、債権者らにとって、平成一二年三月二一日以降の雇用の継続を期待できる合理性があったとは到底認め難いというべきである。
 3 そうすると、債権者らについて、解雇の(類推)法理の適用はなく、平成一二年三月二〇日をもって、雇用契約が終了したものというべきである。