全 情 報

ID番号 07621
事件名 賃金請求上告事件、上告受理申立事件
いわゆる事件名 中根製作所事件
争点
事案概要  ミシン部品製造会社Yの元従業員Xら一五名が、(1)Yの主力商品の受注の減少傾向により約三か月間営業利益が赤字となったことから人件費の見直しとして、五三歳以上の従業員の月額基本給の大幅減額案が組合に提示され、団体交渉を経て、過去一〇年間の取扱いと同様に組合執行部による各職場での職場会における意見聴取後、代議員会において、従業員の基本給は五三歳到達時に最高で二一・七パーセント、五八歳到達以降は二三パーセント減額される旨の労働協約が締結され、その半年後にも、(2)経営不振を理由に、全従業員を対象とする給与減額が提案され、組合が協約締結を拒否したにもかかわらず、その二か月経過時から減額措置が実施され、過半数の従業員に適用されたことから、(1)本件労働協約による給与減額は、労働協約の締結は組合大会の付議事項とする旨の規約に違反し、また内容も合理性を欠き無効、(2)全従業員への給与減額措置につき、従業員の同意を得ていないことから無効であるとして賃金差額等を請求したケースの上告審で、一審の結論と同様に、(1)については、労働協約締結は組合大会の付議事項とされているところ、本件労働協約締結に当たって組合大会で決議された事実はないから、本件労働協約は労働組合の協約締結権限に瑕疵があり、その締結手続に瑕疵があるので無効であり、それに基づく給与減額も効力を認めることができないとし、(2)についても、Yの経営状態は危機的状況にあったものとは認められないこと等から、本件給与減額措置の合理性及び必要性は認め難く、労働者の同意なしに実施し得るものとはいえず、Xらの同意がない本件減額措置は無効とした原審の判断が支持され、最高裁は、Yの上告受理申立てに対し不受理の決定がなされ、Yの上告が棄却された事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法89条1項2号
労働組合法16条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額
裁判年月日 2000年11月28日
裁判所名 最高三小
裁判形式 決定
事件番号 平成12年 (受) 1357 
平成12年 (オ) 1583 
裁判結果 棄却(1583号)、不受理(1357号)(確定)
出典 労働判例797号12頁
審級関係 控訴審/07584/東京高/平12. 7.26/平成11年(ネ)4601号
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・賃金の減額〕
 本件上告を棄却する。
 本件を上告審として受理しない。