全 情 報

ID番号 07641
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 日本エマソン事件
争点
事案概要  空調装置等の製造販売、輸入等を業とする株式会社Yに、採用面接時において他社での経験を説明したことによってシステムエンジニアとして十分な技術・能力を備えた技術者として評価されて入社したXが、システムエンジニアとしての技術・能力はもとより、アプリケーションエンジニアとしての技術・能力も不足し、かつYにおいて実施された現場指導、教育訓練等を受けたにもかかわらず、その成果が上がらず、また出勤状況をはじめとする日常の勤務成績・態度(顧客会議等の遅刻、不完全な月報の提出・不提出など)が組織の一員としての自覚を欠いた不良なものであり、Yが改善努力を求めても改まらなかったため、業務遂行能力、勤務成績及び勤務態度の不良を理由に、就業規則に基づき解雇されたことから、右解雇の無効を主張して、雇用契約上の地位確認及び賃金支払を請求したケースで、本件解雇は少なくとも就業規則の解雇事由(勤務成績が不良で就業に適さないと会社が認めたとき)に該当し、本件解雇は予告期間経過後に効力を生じたものであるとして、請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
解雇(民事) / 解雇手続 / 弁明の機会
裁判年月日 1999年12月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成8年 (ワ) 20054 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1759号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-職務能力・技量〕
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、原告の勤務態度には改善努力が認められず、被告にとって容認可能な範囲の限界を超え、とりわけ、同年八月八日から一一日までの欠勤は容赦できない行為である旨の判断の下に、同月三一日、三〇日間の予告期間を置いて同年九月三〇日付けで解雇する旨の本件解雇をしたことが認められる。
 3 以上の事実によれば、原告は、システムエンジニアとしての技術・能力を備えた技術者として被告に雇用されたのに、システムエンジニアとしての技術・能力はもとより、アプリケーションエンジニアとしての技術・能力も不足し、かつ、原告の技術的水準を向上させるべく、被告において、現場指導、教育訓練等を続けたが、原告の意欲が乏しかったため、その成果が上がらなかったこと、一方、出勤状況を初めとする日常の勤務成績・態度は、組織の一員としての自覚を欠いた不良のもので、改善努力を求めても改まらなかったことを認めることができるから、本件解雇は、少なくとも、被告就業規則一一条一項二号に該当するものということができる。〔中略〕
〔解雇-解雇手続-弁明の機会〕
 原告は、本件解雇は手続的にも違法なものである旨主張するが、本件解雇に至る経緯に照らすと、被告は、種々の方法を通じて原告の申述を聞いたほか、観察期間を設けて勤務態度等の改善努力の有無を観察する措置をとった上で(なお、本件誓約書には、平成六年四月一五日及び同年五月一六日にレビューを実施する旨の記載があるが、レビューは被告において右改善状況を判定するためのものであって、原告本人を含めたレビューの実施を義務づけたものではないと解される)、本件解雇に及んだことが認められるから、原告の右主張は採用することができない。