ID番号 | : | 07652 |
事件名 | : | 組合員地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 関西職別労供労働組合(除籍)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 職業安定法四五条に基づき労働大臣の許可を得て無料の労働者供給事業を行っている自動車運転手で組織する労働組合Yの支部から日々雇用主の斡旋を受けていた組合員Xが、Y組合の組合規約には、正当な理由なく組合費を二カ月以上滞納した組合員は除籍される旨の規定があったにもかかわらず、組合費を二カ月以上滞納していたところ、支部長から「信頼関係が破壊された」と告げられて、以後就労先が斡旋されなくなったことから、Yの組合員としての権利を有する地位にあることの確認及びYの仕事の斡旋拒否に対する損害賠償の支払を請求したケースで、Xは除籍要件を満たしているが、Yでは二カ月分の滞納によって当然除籍になるとの扱いはされていないこと、Xは従前から就労先の斡旋停止がなされていたこと、組合費納入の催告も、仮処分事件の審理に至るまで除籍の通告もなされていないこと、執行委員会で除籍の決定ないし承認したとの事実もないこと等からして、組合費滞納を理由にXのみを除籍扱いにすることは、組合員を公平に処遇すべきという要請に反するものであり、これに合理的な理由があるとは認められないことから、本件措置は違法であるとして、地位確認請求については請求が認容されたが、Yの斡旋拒否がなかったとしてもXが当然に一定額の収入をもたらす事業所で稼動して従前と同水準の収入を維持できたとは推認できないなどとして、損害賠償請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 職業安定法45条 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 労働組合の労働者供給事業 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償 |
裁判年月日 | : | 2000年5月31日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成10年 (ワ) 11109 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却(確定) |
出典 | : | 労働判例811号75頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕 〔配転・出向・転籍・派遣-労働組合の労働者供給事業〕 被告は労働者供給の申込みをしてきた事業所と労働者供給契約を締結し、原告ら組合員にこれら労働者供給契約を締結した事業所を就労先として無料で斡旋するだけであって、雇用契約自体は、各組合員と各事業所との間で締結され、賃金も就労先の事業所から各組合員に支給されるものであること、したがって、供給先事業所の需要や事業所によっては特定組合員の就労を拒否すること(出入禁止)などから、組合員は希望する事業所で自由に就労できるものではないこと、組合員は被告を経由することなく自ら事業所と交渉するなどして雇用されることは何らの妨げを受けないこと、原告は、被告から就労の斡旋を受けられなくなって後、タクシー運転手等として稼動し収入を得ていること、組合規約上、被告が原告ら組合員に対し、一定の収入を獲得し得る仕事を斡旋すべきことを規定した条項や一定の収入を補償することを規定した条項は存しないことが認められ、右認定事実によれば、被告の斡旋拒否がなかったとしても、原告が当然に一定額の収入をもたらす事業所で稼動するなどして従前と同水準の収入を維持できたとは推認できず、したがって、被告の斡旋拒否によって、原告主張の損害が生じているとは認められないし、また、原告の就労の機会が事実上減少し、その結果賃金収入に影響を及ぼした部分があったとしても、当該減少部分は特定できない。 |