ID番号 | : | 07719 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 読売観光事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 観光バスによる貸切バス業務等を目的とする株式会社Yの管理部運転係に配属され観光バスの運転手として勤務してきたXが、従前から懲戒処分を受けるなどしていたうえに、危険な走行や乗用運転手への暴言、業務命令違反、ガイド・運転手とのトラブルなどを起こしていたところ、大手顧客であるA社から発注した旅行業務において資料の提供を受けていたにもかかわらず、道に迷い、さらにYにおける乗務心得に反して添乗員に対し感情的な態度を採るなどしたことから、A社から厳重注意、業務依頼停止の警告を受けたYはXを観光バスの乗務員としては不適格であると判断して退職勧奨し、自宅待機命令を出したが、Xに反省の態度も見られなかったことから、再度退職勧奨を拒否したXに対し解雇の意思表示をしたところ、XがYに対し、右解雇は懲戒解雇事由に該当する事実がないにもかかわらずなされたものであり、解雇権の濫用にあたり無効であると主張して、雇用契約上の地位の確認を請求したケースで、Xの各行為は就業規則の懲戒解雇事由(会社の経営方針に反する行為、故意又は重大な過失により会社に著しい損害を与え又は信用を傷つけたとき)に該当し、またXは三回にわたり懲戒処分を受け、それにもかかわらず、就業規則違反の行為を繰り返し、反省の態度が極めて認め難く、これらの処分を受けたことは就業規則の懲戒事由(しばしば懲戒処分を受け改心の実なきとき)に該当し、右解雇は有効であるとして、請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 従業員としての適性・適格性 |
裁判年月日 | : | 2001年2月16日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成11年 (ワ) 6604 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1769号19頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-従業員としての適性・適格性〕 被告は、株式会社Yからの厳重注意、業務依頼停止の警告を受けて、原告を観光バスの乗務員としては不適格であると判断し、平成一一年三月一日、原告に対し、退職勧奨したこと、その後同年四月二日、原告の再就職活動の便宜を考慮して、原告に対し自宅待機を命じたこと、しかし、原告としては、乗務停止処分、自宅待機には不満であり、不当であると考えていたことから、同月一〇日被告に出社したこと、被告は、原告のこうした態度をみて、自宅待機を命じたにもかかわらず、これに従わず、反省の態度も見られず、このまま自宅待機を命じても徒に期日が経過するのみであると判断し、同月二四日、原告に出社を命じ、出社してきた原告に対し、退職届を提出するよう求め、これに応じなければ、解雇する旨伝えたところ、原告は退職届の提出を拒否したこと、そこで、被告は、同日、本件解雇の意思表示をした。〔中略〕 原告は三回にわたり懲戒処分を受けており、それにもかかわらず、就業規則違反の行為を繰り返してきており、反省の態度が認め難く((11)については乗務停止処分の後、添乗員の自宅の電話番号を聞きだそうとするなど、反省の態度は認められない)、これらの処分を受けたことは同条10号に該当するものというべきであり、したがって、本件解雇は有効である。 |