ID番号 | : | 07811 |
事件名 | : | 時間外手当等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 関西千歳サービス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 社員食堂、寮等の運営管理等を目的とした会社Yに寮勤務員として雇用され、Yが会社Aから管理を委託された寮において、住込で寮の管理人業務を遂行している夫婦Xが、Yにおける勤務時間は午前六時から午後一〇時までの間における断続勤務であり、実労働時間及び休憩をそれぞれ八時間とされていたところ(Yは労基署長より、午前六時から午後一一時までにおける断続八時間労働として断続労働に対する適用除外の許可を得ている)、Xらの労働実態は午前五時三〇分から午後一一時までの間、食事時間を除いた連続労働であって、断続的労働はないから、Yの右許可における条件違反は重大であり、右許可は時間外労働及び休日労働の支払に関しては無効であるとして、時間外労働及び休日労働に当たる時間につき、割増賃金の支払等を請求したケースで、本件許可自体を無効とすべき重大かつ明白な瑕疵は認められず、また使用者が許可に付された付款に違反しても、それにより直ちに許可の効力を失わせることにはならないから本件許可は無効とはいえないとしたうえで、断続労働についての許可の効果はXらの労働が断続労働ではない場合には、その効力が及ばない場合もあり得るというべきであり、またYは雇用契約(就業規則の規定)に基づき時間外・休日労働について割増賃金を支払うべき義務があるところ、Xらが主張する労働実態は、業務として行う必要のない事項を含み、必要な行為についても過大な時間を計上しており、誇張されたものであるということができ、Xらの労働はなお断続的労働ということができるから、午前六時から午後一〇時までの労働については時間外賃金の問題は生じないが、Xらには勤務開始時間午前六時(寮の朝食時間)までの一五分間につき玄関開扉等行うべき業務が存在し、右一五分間についてはYから黙示的に業務命令があったものといえることから、平日の一五分間につき時間外労働と認めるのが相当であるとして、請求が一部認容された(付加金請求は棄却)事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法32条1項 労働基準法37条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務 |
裁判年月日 | : | 2001年9月28日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成10年 (ワ) 507 |
裁判結果 | : | 一部認容、一部棄却 |
出典 | : | 労経速報1786号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-割増賃金-支払い義務〕 原告らが主張する労働実態は、業務として行う必要のない事柄を含み、必要な行為についても過大な時間を計上しており、誇張されたものであるということができ、原告らの労働については、その業務の性質上、被告が示した執務概要のとおりに実施できるということはないとしても、なお、断続的労働ということができるもので、午前六時から午後一〇時までの労働については、時間外賃金の問題を生じないというべきである。 そこで、上記時間以外における労働についてみるに、平日の朝食時間は午前六時からとされており、この朝食時間を前提にすれば、電気の消灯、点灯、玄関開扉等、それまでに行うべき業務が存在し、そのために管理人一人につき少なくとも一五分程度は必要と認めることができる。そして、朝食時間については、寮に掲示されていたから、被告においても知る機会があったと推認でき、それにもかかわらず原告らがこれを前提に勤務していたことを放置していたのであるから、この一五分については、黙示的に業務命令があったものといえ、これを時間外勤務と認めるのを相当とする。そうであれば、平日(ただし、原告らの休日を除く)について、原告らそれぞれに一五分の時間外勤務を認めることができる。 |