ID番号 | : | 07812 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 近畿大阪銀行事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 銀行Yで、支店次長、副支店長等の地位を経て、支店出張所所長の地位にあった従業員Xが、従前から、Yの行員としての地位にあることを利用して貸付の媒介行為を行うなどしていたことから、懲罰委員会の決定に基づき、いわゆる浮き貸し(出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締に関する法律三条)に該当する違法行為があり、労働協約に定める懲戒解雇基準に関する協定書(銀行員が職務上の立場権限を利用して自己又は第三者の利益を図ったとき)の規定に該当することを理由に、就業規則に基づき懲戒解雇されたところ、右解雇は無効であるとして、労働契約上の地位確認及び賃金支払を請求したケースで、Xの行為は、右協定書の懲戒解雇事由に該当し、長期間にわたり多数の媒介行為を行い、過去にも浮貸しの疑いのある行為を行って降格処分を受けていることに照らせば、懲戒解雇処分となることも止むを得ないとして、本件懲戒解雇は相当なものであり、手続等他に懲戒権濫用として無効となる事実も認められず有効であるとして、請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続 |
裁判年月日 | : | 2001年9月28日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成12年 (ワ) 9154 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労経速報1789号15頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕 A、B及びCによるD建設への各貸し付け、E建築およびCの妥行への貸し付けに際しての原告の関与は、前記認定のとおりであり、原告は、各貸し付けのもとになる被告からの前記各人へのフリーローン等を利用した融資に直接関与したり、D建設への貸付においてはその貸付額を決定したり、各貸し付けにおける払い出し、振り込み等に関する伝票類への記入などを行っており、いずれも、被告の行員としての地位にあることを利用して、各貸し付けの媒介行為を行ったといえる。 そして、これらの原告の行為は、D建設ないしは妥行という第三者の利益を図るためになされたものであり、特にD建設については、原告はD建設のために自宅を担保提供し、また妻Fが役員であるなどの点を考慮すれば、D建設への運転資金の融資に関係することは自己の利益を図ったともいえるものである。 またG関係の振り込みに関しては、現実の入金なくして振り込みを行っており、これは、原告が被告行員でありかつ次長という職になければできなかったことであるといえる。〔中略〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕 原告は、本件懲戒解雇に至る手続きにおいて、関係者からの事情聴取を行わず、一か月以上にわたり原告を一室に閉じこめ、連日責め立てて不正行為を行ったと無理やり認めさせるという調査方法が不当であると主張する。 しかし、関係者からの事情聴取は、一般的には行うのが望ましいものであるとはいえ、これを行わなかったからといって、懲戒手続きがただちに違法となるとまではいえないこと、面談中の外出も認められ、通常の勤務日にのみ事情聴取を行い、原告からの申し出に応じて休暇も認めていた(人証略)ことからすれば、事情聴取の手続に違法があったとはいえない。〔中略〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 本件懲戒解雇については、原告に懲戒解雇相当の事由が認められ、過去の処分歴等に照らしても、相当なものと言わざるを得ず、手続き等他に懲戒権の濫用として無効となる事実も認められないから、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。 |