ID番号 | : | 07825 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | リアテック事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | コンピューター関連機器のソフト開発・販売などを主たる業務とする株式会社Yで主任の地位にあった営業担当社員Xが、営業成績が不良であり、独善的な営業活動を行うことが多いこと、トラブル発生時に顧客に対し他の従業員に責任転嫁するような発言をするなど問題が多かったこともあって、管理能力の欠如等を理由に主任の職を解く辞令が出され賃金が減額されたため、右降格及び賃金減額について団体交渉を申し入れたが、自宅待機命令が命じられ、その後、組合、X、Yの間で、Yは右降格及び減額を撤回して差額賃金を支払う、組合員であることを理由とする差別的取扱をしない、XとYは業務向上のために協力する、XはYの業務上の指示について誠実に履行する旨の合意が成立し、Xには新設された支店への転勤命令が出され、新支店で勤務することになったところ、Xはその赴任の翌日に、支店のオープンの日であるにもかかわらず、有給休暇(所定の届出はしていない)を取得し、その数日後「営業成績が不良であり、業務向上のための協力姿勢も見られない」との理由で解雇されたため、XがYに対し、右解雇の無効を主張して、XがYに対し雇用契約上の地位の仮の確認及び賃金の仮払を申立てたケースで、Yが、Xが上司の指示や会社の意向も聞き入れず、協調性に欠け、自己中心的であるとの理由で本件解雇を行ったことはやむを得ず、解雇権濫用であるということはできないとして、申立てが棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇事由 / 上司反抗 |
裁判年月日 | : | 2001年11月20日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成13年 (ヨ) 10062 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労経速報1791号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 〔解雇-解雇事由-上司反抗〕 上記認定事実によれば、債権者は京都支店への異動について不満をもっていたことが認められる。しかし、債権者の居住地から京都までは通勤不可能な範囲ではなく、また、債務者が、債権者の事情を聞いた上で、大阪勤務の話し合いをしてもよい旨や出勤時間や退勤時間をずらすことを申し出ているにもかかわらず、債権者は自分の顧客に固執してその申し出を拒絶していることが認められるのであり、その上、債権者は、京都支店への辞令発令後に債務者との間で本件合意に至っているのであって、当然債権者は京都支店への異動を前提として本件合意をしたといえる。債権者は、平成一三年三月二日の休暇取得については、労基署等に相談にいくために取得したと主張し、陳述書にはその旨の記載がある。仮にそのような事情で債権者が休暇取得を申し出たとしても、債権者の方ではそれまでその件についての話し合いに応じる意思を示していながら、債権者のほうでこれを拒絶し、話し合いに応じなかったのであるから、債権者が京都支店への異動に不満があったとしても、それをもって債務者に問題があったとはいいがたい。そして、債権者が、本件合意の存在にもかかわらず、それまでの債権者の営業成績、営業活動、今後も債務者の方針に従わず独自の営業活動を考えていたことの事情から、債権者に協調性がなく、債務者や上司の指示に従わないと評価されてもやむを得ない。 したがって、債務者が、債権者が上司の指示や会社の意向も聞き入れず、協調性に欠け、自己中心的であるとの理由で本件解雇を行ったことはやむを得ず、解雇権の濫用であるということはできない。 |