全 情 報

ID番号 07828
事件名 損害賠償請求各上告事件
いわゆる事件名 全税関東京支部事件
争点
事案概要  〔1〕東京税関の職員であり全国税関労働組合東京支部X1の組合員であったX2ら一〇〇名が、昭和四〇年から昭和四九年までの間、東京税関長から、X1組合の組合員であることを理由として、昇任、昇格及び昇給等について不当な差別扱いを受け、これにより財産的、精神的損害を被ったとして、国家賠償法一条一項に基づき、国に対し、右期間中に生じた右損害の賠償を請求し、また〔2〕組合X1が、その組合員に対する不当な差別扱いを受けたほか、東京税関局の違法な支配介入等により団結権を侵害され、これにより無形の損害を被ったとして、国に対し国家賠償法に基づき損害賠償を請求したケースの上告審(予備的請求として慰謝料の支払を請求・国控訴・Xら附帯控訴)で、原審は〔1〕については組合員X2らに慰謝料の支払を命じた一審判決を取消し、〔2〕については組合員組合X1に対し二〇〇万円(弁護士費用50万円)の損害賠償の支払を命じて一審の認容額(一〇〇万円弁護士費用一〇万円)を変更していたが、最高裁は、税関当局の組合X1に対する一般的な嫌悪、差別意思を原判決が認定したことは是認でき、また東京税関当局が組合X1分裂の動きを助長したことなどを組合X1が当時から知っていたと断定するに足りる事実は原審により確定されていないから、消滅時効は成立しないとした原審の判断は結論において正当なものとして是認できるとして、国側及びX側の上告を棄却した事例。
参照法条 国家公務員法72条
国家賠償法1条1項
体系項目 労働契約(民事) / 人事権 / 昇給・昇格
労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2001年12月13日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 平成13年 (受) 902 
平成13年 (受) 903 
裁判結果 各棄却(確定)
出典 労働判例818号12頁/第一法規A
審級関係 控訴審/07707/東京高/平13. 1.26/平成7年(ネ)999号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-人事権-昇給・昇格〕
〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 論旨は、関税局文書や東京税関文書から本件係争期間中における当局の原告組合に対する一般的な嫌悪、差別意思を認定したことを論難するが、これらの資料に原判決が確定したその他の諸事実をも併せ考慮するならば、上記認定を是認することができる。また、論旨は、原審の2(2)及び(4)の認定判断につき、国家賠償法1条1項の解釈適用の誤り、経験則違反等をいうが、原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実の認定を非難するか、又は、原判決を正解せず、独自の見解に立って原判決を論難するものであって、いずれも採用することができない。