ID番号 | : | 07833 |
事件名 | : | 強制連行労働者等に対する未払賃金等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 不二越挺身隊事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 第二次大戦中に、朝鮮半島から女子勤労挺身隊員の募集あるいは徴用により来日し、Yの経営にかかる富山市内の軍需工場で労働に従事したとしてX1・X2・X3らが、未払賃金を求めるとともに、劣悪な環境下で労働させられたことにつき、Yに対し不法行為又は債務不履行による損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めたケースの控訴審で、原審と同様、賃金請求権及び不法行為等による損害賠償請求権が時効期間又は除斥期間の経過により消滅したとされた事例。 |
参照法条 | : | 民法166条 民法174条 民法724条 |
体系項目 | : | 雑則(民事) / 時効 |
裁判年月日 | : | 1998年12月21日 |
裁判所名 | : | 名古屋高金沢支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成8年 (ネ) 158 |
裁判結果 | : | 控訴棄却(上告) |
出典 | : | タイムズ1046号161頁 |
審級関係 | : | 一審/06829/富山地/平 8. 7.24/平成4年(ワ)263号 |
評釈論文 | : | 戸塚悦朗・法学セミナー44巻3号30~33頁1999年3月/松本克美・法律時報71巻11号118~121頁1999年10月 |
判決理由 | : | 〔雑則-時効〕 民法一六六条一項は権利を行使することができる時から消滅時効が進行すると定めているところ、賃金債権については、一般に履行期の到来によって法律上の障害がなくなり権利の行使が可能になるのであるから、控訴人らの本件賃金債権も原則として履行期である毎月末日の経過をもって消滅時効が進行を開始するものと解するのが相当であり、右賃金請求権の在否・行使の可否についての控訴人らの主観的認識や経済状態や地理的条件といった控訴人らの一身上の事情による請求権の行使に対する事実上の障害は、時効期間の進行を妨げる事由にはならないと解すべきである。 してみると、控訴人X1及び控訴人X2の主張に係る本件賃金債権については遅くとも昭和二〇年八月一日から、控訴人X2の主張に係る本件賃金債権については遅くとも昭和二〇年一二月一日から消滅時効の進行を開始したものと解するのが相当である。したがって、控訴人ら三名の本件賃金債権はいずれも時効により既に消滅していることが明らかである。 |