全 情 報

ID番号 07872
事件名 地位保全等仮処分申立事件
いわゆる事件名 佐合商事事件
争点
事案概要  ファストフード店の経営等を目的とするY2社の従業員Xが、度重なる遅刻、会社代表者の指示に対する無視、他の従業員との再三にわたるトラブルや客の面前での不適切な言動、勤務態度不良並びに職務不適格を理由に解雇され、地位保全等の仮処分を申し立てたところ、Xの勤務態度に問題があり、解雇は社会通念上やむを得ないものであったとして、申立てが却下された事例。
参照法条 労働基準法89条3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 2001年9月25日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成13年 (ヨ) 10055 
裁判結果 却下
出典 労経速報1793号7頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 債務者が本件解雇の理由とする事実のうち、〔1〕度重なる遅刻の点については、疎明上認められるのは三回であり、その中には、通勤途上の交通事故など、債権者の帰責性を問うのは、酷なものもあり、解雇の合理的な理由とはなしえない。また、〔2〕Y1の業務上の指示違反の事実のうち、平成一三年二月二〇日ころの件については、当日債権者が体調不良(下痢)であったことを考慮すれば、これをもって、解雇の合理的な理由とはなしえない。
 他方〔2〕のうちそのほかの業務指示違反の事実や、〔3〕他の従業員との度重なるトラブル等の事実については、債権者の勤務態度に問題があったと言わざるを得ず、本件解雇についての合理的な理由となりうる。そして、債権者の度重なる客の前で他の従業員とトラブルと、そのために平成一二年一二月から平成一三年二月までのわずか三か月の間にアルバイトの従業員が三名も辞めることになったことは、ファーストフード店の営業という債務者の営業に多大な悪影響を与えるものといえること、Y1は、債権者についてトラブルが目立ち始めた平成一三年二月一三日に厳重に注意したにもかかわらず、Aとトラブルを起こしたこと、同月二八日の債権者とY1との話し合いで、再度、債権者の勤務状況の改善をみるということになったにもかかわらず、債権者は、あえて翌三月一日に三〇分遅刻してきたこと(証拠略)などに鑑みれば、債権者に対し、解雇をもって処することも社会通念上やむを得ないものと言わざるを得ない。
 以上、本件解雇が、解雇権の濫用であり無効であることを認めるに足りる疎明はなく、本件申立ての被保全権利についてこれを認めることはできない。