全 情 報

ID番号 07878
事件名 損害賠償請求事件(10022号)、破産債権確定請求事件(11702号)
いわゆる事件名 破産者松筒自動車学校破産管財人事件
争点
事案概要  破産者Y1自動車学校の従業員で、原告X1組合の組合員でもあったX2及びX3が、定年退職後、嘱託としての雇用を拒否されたことがX2及びX3の組合活動を理由とする不当労働行為であるとして、Y1の代表者であったY2及びY3に対して不法行為に基づく一五〇〇万円の損害賠償を求めたケース(甲事件)と、X1組合が、同一の事由に基づくY1に対する損害賠償及びX2~X13ら一二名がその賃金等につき、破産債権の届出をしたところ、Y1の破産管財人から異議を述べられたため、これらの債権について確定を求めたケース(乙事件)につき、いずれも理由なしとして棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 退職 / 定年・再雇用
裁判年月日 2001年10月17日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成12年 (ワ) 10022 
平成12年 (ワ) 11702 
裁判結果 棄却(10022号)、棄却(11702号)(控訴)
出典 労働判例820号28頁/労経速報1811号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔退職-定年・再雇用〕
 破産会社は、本件嘱託雇用協定の趣旨は、定年退職者で希望する者のうち、破産会社においても採用を希望する場合に、嘱託雇用するとの趣旨であると認識していたことが認められる。また、原告組合も、破産会社がかかる認識の下、本件嘱託雇用協定を締結していたことは認識していたものであるから、本件嘱託雇用協定の趣旨は、あくまでも破産会社の認識と同様の意味を持つに止まるものである。
 この点、原告組合及び原告らは、破産会社の就業規則における嘱託雇用とは別途に労使協定を締結したのであるから、無条件での採用について合意したものであると主張するが、破産会社においては、平成元年以降、就業規則に基づいて嘱託雇用をした事実はなく、個別に合意して嘱託雇用をしたことがあるにすぎないのであるから、就業規則における嘱託雇用と別途の合意をしたことをもって、直ちに無条件での嘱託雇用の合意をしたというのは、論理の飛躍があるといわざるを得ない。
 したがって、破産会社が定年退職者を希望があれば無条件で嘱託者として雇用するとの合意があったと認めることはできない。