全 情 報

ID番号 07887
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 西日本旅客鉄道事件
争点
事案概要  西日本地域における旅客鉄道輸送等を業とする会社Yで運転士あるいは車両技術係として勤務し組合員でもあるX1・X2・X3三名が、それぞれ、〔1〕運転操縦審査業務を妨害したこと(X3)、〔2〕担当変更に係る業務命令時に上司に暴言を吐いたこと及び上司の注意指導に対して暴言を吐いたこと(X2)、〔3〕ドア扱い不良事故を起こしたこと及びその事故を隠したこと(X1)が、就業規則の懲戒事由に該当するとして、懲戒処分を受けた(〔1〕〔2〕は減給処分、〔3〕は出勤停止処分(七日間))ところ、Yに対し、各懲戒処分は理由がなく、又不当労働行為に該当しいずれも無効であるとして、X1・X2・X3それぞれに対してなされた懲戒処分の無効確認及び右懲戒処分に基づき減額された賃金の支払を請求したケースで、X1・X2・X3は、いずれも就業規則の懲戒処分事由に該当する行為を行っており、本件懲戒処分はそれに対する処分であり、不当労働行為であるとはいえず、又これを不当労働行為であると認めるに足りる証拠もないとして、請求がいずれも棄却された事例。
参照法条 労働基準法89条9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 2001年12月5日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成12年 (ワ) 239 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1795号11頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 原告X1は、本件事故は被告に報告すべき義務があることを認識していながら、これを報告しなかったものであり、原告X1の実害が発生しなければ報告しなくてもよいとの弁解は、原告X1の勝手な判断に基づくものといわざるを得ない。〔中略〕
 右1で認定したとおり、原告X1は、漫然と降車側と反対側のドアを開扉して本件事故を惹起し、かつそれについて報告義務があるにもかかわらず、これを怠り、本件事故を報告しなかったのであるから、右行為が、会社の諸規程に違反したとして被告就業規則一四六条一号に、また、懲戒されるべき事実を故意に隠したものとして同条八号に該当するとしてなされた本件X1の懲戒処分は理由がある。
 また、本件では幸いにも乗客に危険は生じなかったが、ドア扱い不良事故は乗客への生命、身体への危険を発生しかねず、このような観点から、被告が、平成八年三月二〇日に発生した舞鶴線西舞鶴駅信号取扱事故に関する事故隠蔽に際し当該助役が出勤停止一四日間の懲戒処分に賦されていたことを勘案して(証拠略)、原告X1に対し、出勤停止七日間の懲戒処分をしたことは、その処分内容の点においても、重きに失するとはいえない。