全 情 報

ID番号 07927
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 西日本電信電話事件
争点
事案概要  電電公社が組織変更して発足した株式会社Aが再編成されて設立された株式会社Yの従業員X(いずれも組合員)が、業績手当制度の廃止が労働条件の不利益変更に当たり無効であるとして業績手当の支払を請求したケースで、Aと組合との間で結ばれた業績手当に関する労働協約を受けてAが労給六六号で業績手当の支給方法を定めその旨をA社内一般長宛てに通知したことが認められるところ、労給六六号は、その宛名が「社内一般長」となっていることからも明らかなように業績手当の内容を改定するという社内通達文書であり、従業員に新たな権利を付与するべく従業員に周知させるために全員に配布された文書ではなく、就業規則に代替するような性格のものということはできず、また業績手当を支給するとした場合の支給方法を定めているだけであって、社長が必要と認めるときに支給するとのAの社員就業規則の内容を変更して必ず業績手当を請求すると定めるものではないことは、記載の文言や労働協約において業績手当は会社の業績によって左右される手当であることを前提としていること等から明らかであり、またA及びYの就業規則・社員給与規則はいずれも臨時特別手当(本件業績手当はこれに属する)は社長が必要と認めるときに支給する旨を定め、その規定内容に変更がないことからするとYにおいて業績手当を支給する旨の具体的な決定をしない以上、Xらに業績手当の請求権はないといわざるを得ないとして、請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法3章
労働基準法11条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 賃金請求権の発生時期・根拠
裁判年月日 2002年3月6日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成13年 (ワ) 2785 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 労経速報1804号9頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-賃金請求権の発生時期・根拠〕
 業績手当は、臨時特別手当に属するものであるところ、Aにおいて業績手当の支給率についてはそのつど決定されてきたこと、被告の賃金体系は基本的にAから引き継がれていること、臨時特別手当に関して定めるAの社員就業規則第一一五条と被告の就業規則一一二条及び社員給与規則第一一〇条一項は、いずれも臨時特別手当は社長が必要と認めるときに支給する旨定め、その規定内容に変更がないことからすると、被告において業績手当を支給する旨の具体的な決定をしない以上、原告らに平成一二年度以降の業績手当の請求権はないといわざるを得ない。