全 情 報

ID番号 07984
事件名 各雇用関係確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 コンチネンタル・ミクロネシア・インク事件
争点
事案概要  アメリカ合衆国デラウェア州法に基づき設立された航空会社Yに平成七年から九年にかけて雇用期間を一年とする客室乗務員として採用され、その後契約を更新して勤務していたXら七名が、搭乗者数の減少等による減便等に直面したYから平成一一年に同契約を更新しないが、限定された人員について六か月間の契約が可能である旨が伝えられたため、この契約に申し込んだが、Xらのうち五名は契約を拒否され、同契約を締結した二名についてもその後は契約が更新されなかったことから、本件契約(フライフォーファイブと呼ばれている)は一年契約の更新により実質的には五年間の契約期間を定める契約であり、本件雇止めは権利の濫用であるなどと主張して、雇用契約上の地位にあることの確認及び賃金の支払を請求したケースの控訴審で、フライフォーファイブを説明するパンフレットや契約書の記載を全体として理解すればXらにおいて契約が更新されるとの期待が客観的にみて合理的なものであるとはいえず、実質的にみても雇用契約継続の信頼を抱くことが合理的であるといえる事情があったとは認められない、その他Xらに対する雇止めについて解雇制限法理を適用又は準用すべき事情は見出せない、また更新拒否の事情もそれが信義則に反しあるいは権利の濫用に当たるとはいえず本件雇止めは有効である、との理由でXらの請求を棄却した原審の判断を相当として(原審の判断をほぼ引用)、Xらの控訴が棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法14条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 2002年7月2日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成14年 (ネ) 670 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働判例836号114頁
審級関係 一審/07894/東京地/平13.12.21/平成11年(ワ)16167号
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 当裁判所も、本件雇止めに解雇制限法理を適用ないし準用すべきであると解することはできず、控訴人と被控訴人間の雇用契約は契約期間の満了によって終了したものと判断する。その理由は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」1及び2記載のとおりであるから、これを引用する。〔中略〕
 解雇制限法理を適用ないし準用するには、雇用契約の当事者間において、期間の定めのある契約があたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたか、少なくとも、期間が満了したというだけでは当然に雇止めになるわけではなく、むしろ雇用関係の継続が期待されていたことが必要になると解すべきであって、控訴人が主張するような客室乗務員労働の内容という一般論や他の航空会社の取扱いを根拠に、控訴人と被控訴人間の雇用契約において契約更新に対する合理的な期待があったとの結論を導くことはできないといわざるを得ない。