ID番号 | : | 08043 |
事件名 | : | 解雇予告手当等、損害賠償反訴、損害賠償等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | フジ興産事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 化学プラント設計等を目的とする株式会社Y1社の設計部門のあるセンターに勤務していたXが、得意先の担当者らの要望に十分応じずトラブルを発生させたり、上司に暴言を吐くなどとして職場の秩序を乱したことなどを理由に、約2ヵ月前に実施された新就業規則の懲戒規定に基づき懲戒解雇されたため(同規則につき労働者代表の同意を得て労基署への届出がなされたのは本件解雇の直前であり、それ以前にY1社の労働者に同規則が周知されたという証拠はない)、〔1〕Y1社に対し本件懲戒解雇は無効であるとして雇用契約上の地位確認および未払いの賃金等の支払のほか本件懲戒解雇は違法であるとして不法行為に基づく損害賠償請求を、また〔2〕Y社の代表取締役Y2らに対し、不当解雇の決定に携ったとして、民法709条ないし商法266条の3に基づき損害賠償等を請求したケースの控訴審で、一審の結論と同様、新就業規則について労働者の同意を得た日以前のXの行為については、同規則と同内容の旧就業規則上の懲戒解雇事由該当性を検討するとしたうえで、旧就業規則は労働者の同意を得て制定・届出された事実が認められる以上、これがセンターに備え付けられていなかったとしても、センター勤務の労働者に効力を有しないとはいえないとし、かかる旧就業規則の懲戒解雇事由が存在するXの本件懲戒解雇を有効として、Xの控訴が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の根拠 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 |
裁判年月日 | : | 2001年5月31日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成12年 (ネ) 2113 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 労経速報1859号6頁 |
審級関係 | : | 上告審/08227/最高二小/平15.10.10/平成13年(受)1709号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 前記1で認定の事実によれば、控訴人は、被控訴人会社の得意先であるA社担当者らの要望に十分に応じないことなどから、同社との間に多くのトラブルを発生させ、そのことに関し、上司であるセンター長被控訴人Y3の度重なる指示に従わず、職場放棄ともとれる態度をとり、一時は被控訴人会社を退職する旨の意向を示したこと、その後、被控訴人会社代表者の指示により、一旦は、社内における紛争の解決が図られたものの、その後も新たな仕事に関し、被控訴人Y3の指示に対して反抗的態度をとり続け、同被控訴人に対してしばしば暴言を吐くなどして、被控訴人会社内を騒然とさせるなどし、長期間にわたり職場の秩序を乱したことが認められる。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の根拠〕 これらの事実は、少なくとも旧就業規則第二九条、第四六条七号に該当するものであり、また、新就業規則第二八条七号に該当するものと認められる。被控訴人会社は、新就業規則に定める懲戒解雇事由を理由として控訴人を懲戒解雇したものであるが、新就業規則の懲戒解雇事由は、旧就業規則の上記懲戒解雇事由を具体的に定めたものと理解できるから(なお、被控訴人会社は、黙示的に旧就業規則に基づく解雇事由をも主張していると理解される)、本件懲戒解雇は有効というべきであり、被控訴人会社が新就業規則に基づいて懲戒解雇したかたちになっているからといって、それだけで本件懲戒解雇を無効なものということはできない。控訴人の前記主張は採用することができない。 |