ID番号 | : | 08155 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 埼京タクシー(本訴)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー事業を行う株式会社Yのタクシー乗務員であったXが、Xのメーター不倒行為による営業行為、始業時刻不遵守や勤務離脱、他の従業員に対する暴言による営業妨害、長時間にわたる車両放置等を理由とする解雇につき、解雇事由が存せず、また就業規則に定める解雇手続等に反し、解雇権濫用に当たり無効であると主張して、〔1〕雇用契約上の地位を有することの確認、および、〔2〕同地位に基づく賃金の支払を請求したケースの控訴審(Xが控訴)で、メーター不倒行為は、懲戒解雇事由に該当するとした上で、メーター不倒行為は、タクシー会社の収入源を奪う極めて重大な行為であること等からすれば、Xは就業規則19条(ウ)「懲戒解雇事由に該当し解雇を相当するとき」に該当するものというべきであるとし、また、就業規則49条所定の手続要件も満たしており、本件解雇は社会通念上相当なものとして是認することができるとして、Xの請求を〔1〕〔2〕ともに棄却した原審の判断が維持され、Xの控訴が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条3号 労働基準法18条の2 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 不正行為 |
裁判年月日 | : | 2003年4月24日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成14年 (ネ) 3467 |
裁判結果 | : | 棄却(上告) |
出典 | : | 労働判例853号31頁 |
審級関係 | : | 一審/08054/さいたま地/平14. 5.15/平成12年(ワ)1281号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-不正行為〕 (1)で認定した事実を総合すると、控訴人は、平成10年7月5日午前1時20分ころ、本件現場付近において、「予約車」と表示し、料金メーターを作動させないでその運転するタクシーに乗客を乗せて走行していたが、その乗務によって乗客から対価として収受したと推認される料金を被控訴人に対して納金しなかったことが認められる。〔中略〕 以上認定した事実に基づき、本件解雇の相当性につき判断するに、メーター不倒の行為は、前記争いのない事実(5)の乗務員服務規律12条、14条(ク)で禁止された行為であるところ、控訴人の行為はその各規定に違反するものであり、前記争いのない事実(4)ウの就業規則46条(エ)(チ)の懲戒解雇事由に該当するものであると認められる。そして、メーター不倒の行為は、タクシー会社の収入源を奪う極めて重大な行為であるので、控訴人は、前記争いのない事実(4)イの就業規則19条(ウ)の解雇事由に該当するものというべきである。 なお、前記(1)オで認定したとおり、控訴人が所属していたC営業所のA所長が控訴人から事情を聴取し、その結果に基づいて、A所長から当時の被控訴人の常務取締役であったBに対し、意見書が提出され(〈証拠略〉)、被控訴人において、解雇の意思表示をしたものであるから、本件解雇は、就業規則49条所定の懲戒解雇の手続に即した手続を履行しており、手続上問題は認められない。 2 以上のとおりであるから、被控訴人の主張する解雇事由のうち、メーター不倒以外の事由について、その事実の存否及び解雇の相当性について判断するまでもなく、本件解雇は社会通念上相当なものとして是認することができるというべきである。 |