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ID番号 : 08465
事件名 : 損害賠償請求上告事件
いわゆる事件名 : 独立行政法人L事件
争点 : 従業員女性に対する異動希望先部署の管理職によるセクシュアルハラスメン行為の有無が争われた事案(使用者勝訴)
事案概要 : 独立行政法人Aに勤務するXが、異動先として希望していた部署の管理職Yから数年間にわたりセクシュアルハラスメント行為を受け、多大な精神的苦痛を受けた結果退職に追い込まれたとして、Yに対し不法行為による損害賠償の支払いを求めた事案の上告審判決である。
 第一審川崎簡裁は、セクハラ行為を認定するとともに、セクハラ行為が継続しているとして消滅時効の完成も否定した。これに対して、Yの控訴を受けた第二審横浜地裁は、Yの下ネタ話は女性に対する配慮を欠くものではあるが以前の多忙な生活状況を示す一つのエピソードであり、同様の発言が繰り返されたとは認められないとして、違法性及び損害の点において典型的なセクハラとは言えないとした。また「不倫しよう」発言についても、その誘いを断ったため異動希望が叶わなかったとのXの主張は合理性を欠き、その後もYと食事をしたり、自からYに声をかけたりするXの行動はセクハラ被害者のものとは言えないこと等から、セクハラ行為があったとは認められないとして、一審判決を取り消しXの請求を棄却した。
 Xの上告を受けた東京高裁は、二審の判断を正当として上告を棄却した。
参照法条 : 民法709条
民法724条
体系項目 : 労基法の基本原則(民事)/均等待遇/セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
裁判年月日 : 2006年3月20日
裁判所名 : 東京高
裁判形式 : 判決
事件番号 : 平成17(ツ)77
裁判結果 : 棄却(確定)
出典 : 労働判例916号53頁
審級関係 : 控訴審/横浜地/平17. 7. 8/平成16年(レ)65号
一審/川崎簡/平16. 4.21/平成15年(ハ)1414号
評釈論文 : 井口寛二、野村幸代・労働法学研究会報58巻1号22~33頁2007年1月1日
判決理由 : 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント〕
 平成10年秋から平成11年3月までの間及び平成12年7月から平成13年初夏ころまでの間のいずれにおいても、上告人が主張するようなセクハラ行為があったことを認めることはできない旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その認定判断の過程において、社会通念ないし経験則に反する点は認められない。本件上告理由は、結局のところ、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰着するものであって、採用することができない。