ID番号 | : | 08730 |
事件名 | : | 地位確認等本訴請求、損害賠償請求、求償金等反訴請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 渡辺工業(住友重機横須賀工場)事件 |
争点 | : | 元電気溶接臨時工が雇止め無効、解雇後の賃金支払、安全配慮義務違反による損害賠償を請求した事案(工員一部勝訴) |
事案概要 | : | Y2社から電気溶接工事を請け負った工業会社Y1に臨時工として採用され雇止めされたX1ら(X1・X2)が、〔1〕Y1を相手取り雇用関係の地位確認と雇止め後の賃金支払、及び在職中賃金が不当に減額されたとして当該期間の差額支払を、〔2〕Y1ら(Y1・Y2)を相手取りX2について発生した2度にわたる事故の安全配慮義務違反による損害賠償を、〔3〕反対にY1がX1らを相手取り社会保険立替費用の返還を、それぞれ求めた事案の控訴審判決である。 第一審の横浜地裁は、〔1〕について、雇止めの合意が成立しており既に雇用関係はないとしつつ、社会保険負担を理由とする減額については合意がなかったとして差額の支払を命じた。〔2〕については、事故は専らX2の不注意によるものであって安全配慮義務違反にはあたらないとし、〔3〕についてはX1ら負担分の社会保険料はX1らが支払うべきものとして、Y1の請求を認容。これに対しX1らが〔1〕の雇止めと〔2〕について控訴。 第二審の東京高裁は、〔1〕について、業務量に応じて臨時工を直接雇用しており、契約上も実態としても認定を覆すに足りる証拠はないとして雇止め部分について控訴を棄却、〔2〕についても、X2の供述に変遷が多く、原審を覆すに足りる証拠は存しないとして請求を棄却した。 |
参照法条 | : | 民法623条 民法415条 民法709条 民法715条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)/短期労働契約の更新拒否(雇止め) 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/安全配慮(保護)義務・使用者の責任 退職/金品の返還/金品の返還 賃金(民事)/賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額/賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額 |
裁判年月日 | : | 2008年8月7日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成20(ネ)615 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 労働判例966号13頁 |
審級関係 | : | 第一審/横浜地/平19.12.20/平成16年(ワ)1517号/平成17年(ワ)333号/平成19年(ワ)2439号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇(民事)-短期労働契約の更新拒否(雇止め)-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 〔労働契約(民事)-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 〔退職-金品の返還-金品の返還〕 〔賃金(民事)-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額〕 被控訴人渡辺工業は、景気変動に伴う雇用量の調整を図るため臨時工を雇用していたが、特定の船舶建造に伴う一時的業務の増大のために、控訴人らを臨時工として3か月の期間を定めて雇用したものであり、その後、5、6回にわたり更新していたが、上記業務の終了見通しとともに人員増大の必要性も失われ、期間満了とともに雇い止めが行われたものであって、この事実によれば、本件各雇用契約は有期雇用契約であるというべきであり、本件記録を精査しても、上記認定を覆すに足りる証拠はない。〔中略〕 本件各雇用契約が期間の定めのない契約であることを前提とする控訴人らの前記主張は認められず、本件記録を精査しても、他に控訴人らの上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。〔中略〕 前記アに掲記の各証拠はたやすく採用できず、本件記録を精査しても、他に控訴人らの前記主張を認めるに足りる証拠はない。 したがって、控訴人らの主張は採用できない。 (3) そのほか、控訴人らは、種々主張して原判決における認定判断を非難するが、いずれも原判決を正解しないか、又は独自の見解に基づくものであり、あるいは証拠を正当に評価しないものであって、採用することができない。 3 以上によれば、控訴人Aの被控訴人渡辺工業に対する請求は、原判決が説示するとおり、未払賃金の差額分にかかる請求部分32万4318円の限度で理由があり、その余は理由がなく、控訴人Bの被控訴人渡辺工業に対する請求は理由がない。 第4 結論 以上のとおりであるから、控訴人Aの請求を上記の限度で認容し、その余を棄却し、控訴人Bの請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 |