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ID番号 08986
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 ギャップ・ジャパン事件
争点 勤務成績不良(仕事のサボタージュ等)を理由とする解雇の効力が争われた事案(元労働者一部勝訴)
事案概要 (1) 第1事件は、Xが、Y社から解雇されたが、その解雇が無効であると主張して、Y社に対し、解雇後再就職までの賃金の支払い、および違法な解雇に基づく損害賠償を求めるとともに、在職期間中の割増賃金および付加金の支払いを求め、第2事件は、Y社が、Xの申し立てた労働審判が権利濫用であるなどと主張して、Xに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めたもの。なお、Xは、本件解雇後、労働審判を申し立て、その後、他社へ就職した。労働審判では、解決金60万円の支払を命じる審判がされたが、Y社が異議を申し立てたため、訴訟に移行した。
(2) 東京地裁は、解雇は無効であるとしたが、双方の損害は認めなかった。
参照法条 労働契約法16条
労働基準法37条
体系項目 解雇(民事)/解雇事由/勤務成績不良・勤務態度
解雇(民事)/解雇権の濫用
退職/任意退職
賃金(民事)/割増賃金/固定残業給
裁判年月日 2014年8月8日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成25(ワ)28516号/平成26(ワ)1979号
裁判結果 平成25(ワ)28516号 一部認容、一部棄却
平成26(ワ)1979号 棄却
出典 労働判例1107号84頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 Xの退職が解雇に基づくものか、自主退職に基づくものか(第1事件)
XがY代表者に対し、退職の意思表示をしたとは認められないから、Xが自主退職したとは認められない。
本件解雇の効力(第1事件)
Xが命じられた仕事をサボタージュしたと認めるに足りる証拠はない。また、Xが転職先を探していたとしても、直ちに勤労意欲を失ったとは認められず、Yの主張する解雇事由には当たらない。
割増賃金について(第1事件)
固定残業代の定めは、就業規則にも試行雇用契約書(証拠略)にも記載されておらず、XとY代表者との間に固定残業代の約束がされたと認めるに足りる証拠もない。したがって、Yの固定残業代の主張は認められない。
本件解雇に伴う損害(第1事件)
無効な解雇に伴う損害として、賃金請求が認められてもまかなうことができない損害が生じたとは認められない。
Xの不法行為(第2事件)
本件解雇は無効であるから、本件労働審判の申立ては理由があるものであって、不法行為には当たらない。