ID番号 | : | 09011 |
事件名 | : | 残業代等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 阪急トラベルサポート(添乗員・第2)事件 |
争点 | : | 募集型企画旅行における添乗員の業務が労基法の労働時間を算定し難いときに該当するかが争われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | (1) Y(被告、被控訴人、上告人)に雇用されて添乗員として旅行業を営む会社に派遣され、同会社が主催する募集型の企画旅行の添乗業務に従事していたX(原告、控訴人、被上告人)が、Yに対し、時間外割増賃金等の支払を求め提訴したもの。 なお、Yは、上記添乗業務については労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たると主張した。 (2) 東京地裁は、上記添乗業務について事業場外のみなし労働時間制の適用を認めたのに対し、東京高裁は、その適用を認めなかった。最高裁は事業場外のみなし労働時間制の適用の有無以外の論旨を排除しつつ上告を受理し、本件は「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとして上告を棄却した。 |
参照法条 | : | 労働基準法32条 労働基準法35条 労働基準法37条 労働基準法38条の2 労働基準法114条 |
体系項目 | : | 労働時間(民事)/事業場外労働 賃金(民事)/割増賃金/支払い義務 |
裁判年月日 | : | 2014年1月24日 |
裁判所名 | : | 最高二小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成24年(受)1475号 |
裁判結果 | : | 棄却、確定 |
出典 | : | 裁判所時報1596号1頁 判例時報2220号126頁 判例タイムズ1400号101頁 労働判例1088号5頁 労働経済判例速報2205号3頁 労働法律旬報1814号79頁 裁判所ウェブサイト掲載判例 登記情報631号92頁 |
審級関係 | : | 控訴審 東京高裁/H24.3.7/平成22年(ネ)4760号/平成22年(ネ)6184号 一審 東京地裁/H22.7.2/平成20年(ワ)20502号 |
評釈論文 | : | 慶谷典之・労働法令通信2345号26~27頁2014年3月28日 阿部未央・労働法律旬報1814号36~40頁2014年4月25日 鴨田哲郎・季刊労働者の権利304号123~129頁2014年4月 宋昌錫・LIBRA14巻7号30~31頁2014年7月 河津博史・銀行法務2158巻9号64頁2014年8月 北岡大介・労働法令通信2349号22~24頁2014年5月8日 判例紹介プロジェクト・NBL1033号61~63頁2014年9月15日 木野綾子・経営法曹182号8~19頁2014年9月 今津幸子・経営法曹183号16~20頁2014年12月 鴨田哲郎・法学セミナー60巻2号2~5頁2015年2月 高橋賢司・判例評論673号(判例時報2244)167~170頁2015年3月1日 緒方桂子・民商法雑誌150巻3号119~125頁2014年6月 |
判決理由 | : | 本件添乗業務について、本件会社は、添乗員との間で、あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示した上で、予定された旅行日程に途中で相応の変更を要する事態が生じた場合にはその時点で個別の指示をするものとされ、旅行日程の終了後は内容の正確性を確認し得る添乗日報によって業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされているということができる。
以上のような業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないと解するのが相当である。
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