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ID番号 09017
事件名 地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 ヴイテックプロダクト(旧A産業)事件
争点 休職後の復職請求と経営再建等を理由とした解雇の効力が争われた事案(原告一部勝訴)
事案概要 (1) Y(被告、控訴人)に従業員として雇用されていたX(原告、被控訴人)が、Yに対し、YのXに対する解雇が無効であると主張して、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②解雇された平成24年10月以降の未払賃金等の支払を求め提訴したもの。
(2) 名古屋地裁岡崎支部は、本件解雇は無効であると判断しXの主張を認容し、名古屋高裁はこれを維持し、控訴を棄却した。
参照法条 労働契約法16条
民事訴訟法135条
体系項目 解雇(民事)/解雇権の濫用
解雇事由/勤務成績不良・勤務態度
休職/休職の終了・満了
裁判年月日 2014年9月25日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 平成26年(ネ)448号
裁判結果 控訴棄却
出典 労働判例1104号14頁
審級関係 一審 名古屋地裁岡崎支部/H26.3.27/平成25年(ワ)76号
上告、上告受理申立
評釈論文
判決理由 当裁判所も、Xの請求は、原審が認容した限度で理由があり、その余の請求は不適法であると判断する。
Xが就労可能を証する診断書をYに提出したにもかかわらず、Yは本件解雇をしたのであるから、これは本件覚書に反するものといわざるを得ない。
本件覚書の上記内容(略)によれば、Yにおいて、休職前のXの勤務態度に問題があったと認識していたとしても、Yは、Xから復職可能の診断書が提出されれば、何ら条件を付さずに、Xの復職を認めたのであるから、休職前のXの勤務態度が問題であることを理由としてXを解雇することは許されないものというべきである。
本件覚書によれば、YはXに対して復職を約束していたのであるから、Xとの間の信頼関係が破壊されていたとは認められない。復職を求めてB前社長と交渉したときのXの態度についても、これによってYとXの信頼関係が破壊されたということはできない。したがって、Yの上記主張も採用することができない。
したがって、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、その権利を濫用したものとして、無効というべきである。
Xに対する就労の制限が前記認定(略)の程度にとどまり、通院の必要性も2週間に1回程度にとどまることに鑑みると、Xは、休職前に行っていた通常の業務を遂行できる程度に回復しており、少なくとも復職後ほどなく治癒することが見込まれていたと認められ、客観的に復職可能な健康状態になっていたというべきであるから、Yの前記(略)主張を採用することはできない。