全 情 報

ID番号 09037
事件名 未払残業賃金支払請求事件
いわゆる事件名 佐川急便事件
争点 時間外労働等の割増賃金請求が問われた事案(労働者敗訴)
事案概要 (1) 宅配便など各種運送に関する事業を行う株式会社である被告Y(佐川急便)の従業員であり、セールスドライバーであったXらが、Yに対し,法定時間外労働・深夜労働に対する割増賃金及び付加金の支払を求め提訴したもの。
(2) 東京地裁は、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないとはいえないとし雇止めは有効であるとしたため、Xが控訴したところ、札幌高裁も雇止めは有効であるとした。
参照法条 労働基準法37条
体系項目 労働時間(民事)/労働時間の概念/タイムカードと始終業時刻
雑則(民事)/付加金/付加金
裁判年月日 2015年2月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)第13821号
裁判結果 一部認容
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間(民事)/労働時間の概念/タイムカードと始終業時刻〕
争点1(Xらの実労働時間)について
 本件において、ID出勤時刻からID退勤時刻までの時間からYが主張する休憩時間(平成23年6月度までは1日1時間。同年7月度以降は1日1時間30分)を控除した時間が実労働時間に当たることは当事者間で争いがないから,Xらの実労働時間についての争いは,ID出勤時刻前及びID退勤時刻後の実労働時間の有無並びに平成23年7月度以降にXらが1時間30分の休憩を現実にとっていたか否かである。(中略)
 料金所通過記録が存しない期間について,X1の実際の出勤時刻は別表4の「〔2〕認定出勤時刻」欄記載のとおりとなり,実際の出勤時刻とID出勤時刻との時間差は同表の「ID出勤時刻前の時間外労働時間」欄記載のとおりとなる。また、X2の実際の出勤時刻は別表5の「〔2〕認定出勤時刻」欄記載のとおりとなり、実際の出勤時刻とID出勤時刻との時間差は同表の「ID出勤時刻前の時間労働時間」欄記載のとおりとなる。(中略)
 すなわち、料金所通過記録が存しない平成22年11月29日から平成23年11月24日までの期間における退勤時刻について、X2は、X1と同様の主張をするが、これらの主張に理由がないことは前記ア(イ)のとおりであるから、料金所通過記録が存しない上記期間におけるX2の退勤時刻については、X1と同様に、ID退勤時刻をもって実際の退勤時刻と認めるほかないというべきである。
〔雑則(民事)/付加金/付加金〕
 本件に顕れた諸般の事情を併せ考慮すれば、本件では、前記3において認定した各Xについての未払割増賃金の合計額のそれぞれ5割に相当する額(X1につき50万3426円、X2につき21万5712円)及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を命ずるのが相当というべきである。