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ID番号 09049
事件名 未払賃金等請求事件
いわゆる事件名 北九州市・市交通局(市営バス運転手)事件
争点 バス運転手の調整時間の労働時間性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) 北九州市交通局に雇用され、市営バスの運転手として勤務するXらが、地方自治体法上の普通地方公共団体たる被告Yに対し、時間外割増賃金の一部が未払であると主張して、未払時間外割増賃金及び遅延損害金の支払を求め提訴したもの。
(2) 福岡地裁は、Xらが労働時間であると主張する調整時間は使用者の指揮監督下に置かれている時間であると判断し、Xらの主張を認容した。
参照法条 労働基準法32条
体系項目 労働時間(民事)/労働時間の概念 /手待時間・不活動時間
裁判年月日 2015年5月20日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 平成24年(行ウ)52号
裁判結果 認容(控訴後和解)
出典 労働判例1124号23頁
判例地方自治407号46頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間(民事) /労働時間の概念 /手待時間・不活動時間〕
 Xら乗務員は、調整時間中において、乗客の有無や周囲の道路状況等を踏まえて、適切なタイミングでバスを移動させることができるよう準備を整えておかなければならず、また、バスの移動業務がない転回場所やバスの移動業務を終えた後においては、実作業が特になければ休憩をとることができるものの、バスから離れて自由に行動することまで許されているものではなく、一定の場所的拘束性を受けた上、いつ現れるか分からない乗客に対して適切な対応をすることができるような体制を整えておくことが求められていたものであるから、乗務員らは、待機時間中といえども、労働からの解放が保障された状態にはなく、使用者の指揮監督下に置かれているというべきである。
 よって、本件の事実関係の下においては、転回時間であるか待機時間であるかを問わず、調整時間の全てが労基法上の労働時間に該当するというべきである。