ID番号 | : | 09065 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | シャノアール事件 |
争点 | : | アルバイトとして長期間契約更新されてきた労働者の雇止めの有効性が問われた事案(労働者敗訴) |
事案概要 | : | (1) 原告Xが、コーヒー・軽食等の店舗内提供・テイクアウト販売を行う店舗の直接経営をする被告Y(シャノアール)の下で長期間アルバイトとして勤務してきたが、Yの方針により雇止めされたことに対し、雇止めの無効を主張して、地位確認及び賃金請求を、また、Xが加入した組合とYとの間での団体交渉等でのYの発言が不法行為に該当するものとして慰謝料を求め提訴したもの。 (2) 東京地裁は、労働契約法19条1項、2項いずれにも該当する事情はないとして、Xの請求を棄却した。 |
参照法条 | : | 労働契約法19条 民法709条 |
体系項目 | : | 解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め) /短期労働契約の更新拒否(雇止め) 労働契約/労働契約上の権利義務/使用者に対する労災以外の損害賠償 |
裁判年月日 | : | 2015年7月31日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成25年(ワ)19333号 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴後和解) |
出典 | : | 労働判例1121号5頁 労働経済判例速報2262号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 森戸英幸・ジュリスト1487号4~5頁2015年12月 木村一成・経営法曹188号32~46頁2016年3月 本庄淳志・季刊労働法253号177~188頁2016年6月 地神亮佑・民商法雑誌152巻1号92~102頁2015年4月 |
判決理由 | : | 〔解雇(民事)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)/短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 1 争点1(本件雇止めの有効性) (1) 労働契約法19条1号該当性 Xは再入社した平成20年7月7日から平成25年6月15日までの4年11か月にわたって19回の契約更新を行ってきたこと及びXは平成15年8月24日から平成19年3月27日までの3年7か月にわたって14回の契約更新を行っていることは当事者間に争いがない。(中略) そうすると、アルバイトの有期労働契約の契約更新手続が形骸化した事実はなく、XY間の労働契約は期間満了の都度更新されてきたものと認められることから、本件雇止めを「期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視」することはできず、労働契約法19条1号には該当しない。 (2) 労働契約法19条2号該当性(中略) Xの雇用継続の期待は単なる主観的な期待にとどまり、同期待に合理的な理由があるとはいえないことから、労働契約法19条2号にも該当しない。(中略) (3) 本件雇止めの有効性 ア 前記(2)の判示のとおり、本件はそもそも労働契約法19条1号、2号に該当しないが、本件雇止めの有効性に関するXの主張に鑑み、なお検討する。(中略) Yにおいて本件更新制限を導入することにやむを得ない事情があり、かつ、前記(ウ)のとおりXの勤務頻度の低さにも問題があるのであるから、本件雇止めは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当であると認められる。 エ よって、XY間の労働契約は本件雇止めにより終了していることから、XがYに対して労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求及びXのYに対する賃金請求はいずれも認められない。 〔労働契約/労働契約上の権利義務/使用者に対する労災以外の損害賠償〕 (1) Xが不法行為の内容としてYの雇止めの理由の変遷を主張する点(前記第3の2の(Xの主張)(1)ア)は、前記1(3)ウ(イ)において判示のとおり、Yの説明方法の巧緻の問題にすぎず、当不当の問題はさておき違法の問題は生じない。(中略) |