ID番号 | : | 09073 |
事件名 | : | 不当労働行為救済命令取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京都・都労委(ソクハイ)事件 |
争点 | : | 不当労働行為救済命令の適法性が争われた事案(労働者勝訴) |
事案概要 | : | (1) Iは、自動二輪車、自転車及び軽四輪車等による荷物の配送業務を主たる業務とする株式会社である原告Xとの間で請負契約又は業務委託契約を締結し(以下、「本件契約」という。)、書類等の配送業務に従事するとともに、労働組合である被告補助参加人(以下「参加人」という。)に加入し、参加人の組合員として活動していた。Xは、参加人との間で、平成22年2月25日、同年10月25日及び平成23年8月18日に団体交渉を行う一方、平成22年11月5日付けで本件契約を解除した。 以上に関し、参加人は、Xを相手取り、東京都労働委員会に対し、数次にわたり、Xが労働組合法7条の規定に違反した旨の申立てを行ったところ、都労委は、上記各申立てに係る事件を併合して審査した上、Xの参加人に対する本件各団体交渉における対応が不誠実な団体交渉に当たる旨、本件解除はIに対する不当労働行為(不利益取扱い)に当たり、かつ、参加人の弱体化を図る不当労働行為(支配介入)に当たる旨を判断し、救済命令を発した。Xが本件救済命令の取消しを求め被告Y(国)に対して提訴した。 (2) 東京地裁は、団体交渉におけるXの対応は不誠実なものであり、また本件解約に不当労働行為意思を推認させる事情があったとして、Xの請求を棄却した。 |
参照法条 | : | |
体系項目 | : | 解雇(民事)/解雇権の濫用/解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 2015年9月28日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成26年(行ウ)第165号 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例1130号5頁 |
審級関係 | : | 控訴 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇(民事)/解雇権の濫用/解雇権の濫用〕 Xの対応は、労働組合の納得を得るために具体的な論拠を示して合理的と考えられる説明を行うこと自体を拒否するものというべきであって、誠実に交渉に当たるべき義務の履行としては不十分なものといわざるを得ない。 (4) 以上によれば、Xは、本件各団体交渉において、Xが負う誠実に交渉に当たる義務を履行したとはいえない。したがって、Xの本件各団体交渉における対応は、労組法7条2号の団体交渉の拒否に該当するものというべきである。 本件業務においてメッセンジャーが個別の配送業務に従事する際に送信することを求められているメールの送信をしばしば怠り、又は、Xの業務に支障を及ぼすことを意図してかかるメールの送信を怠る、本件業務において自ら申告した稼働予定を事前の連絡のないままに守らず、申告した稼働開始時刻より大幅に遅れて稼働を開始することがしばしばある、事故を多発する、顧客等からのクレームを受けたにもかかわらず当該クレームに係る事由について改善する意思のないことを明確に表明するといった事実があったものと認められる。これらはいずれも顧客を相手とする本件業務に大きな支障が生じる事実といえるところ、Iに同様の行為があったことを認めるに足りる証拠はない。以上に鑑みれば、Xの上記指摘の点をもって、上記(3)エにおける判断が左右されるものではないというべきである。 かえって、以上の検討に加えて上記ア、イにおけるXの主張する本件解除の理由に係る認定及び検討をも勘案すれば、Iに上記6人と同様の行為があったと認められない中でXが本件解除を行ったことは、Xが本件解除を行ったことにつきXに不当労働行為意思があったことを推認させる積極的な根拠というべきである。 (5)ア 以上によれば、Xは、不当労働行為意思をもって本件解除を行ったものというべきである。 そうすると、Xは、本件解除を行うことにより、労組法7条1号の禁止する不利益取扱いを行ったものというべきである。 |