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ID番号 09091
事件名 地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 サカキ運輸ほか(法人格濫用)事件
争点 組合壊滅目的の解雇の有効性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1)本件は、光洋商事株式会社(光洋商事)の従業員として同社と労働契約を締結していたX(原告、被控訴人)らが、光洋商事は、Xらの加入する労働組合を壊滅させる目的で、Xらを解雇した上、光洋商事の資産、Xらを除く従業員、取引先等を、同社の代表取締役Bが支配するY(被告、控訴人)に承継させたが、本件解雇は、不当労働行為又は解雇権の濫用に当たり無効であり、かつ、労働契約承継法4条の類推適用によりYは上記労働契約関係を承継した又は法人格否認の法理によりYは光洋商事と別法人であることを主張できないなどとして、Yに対して、上記労働契約に基づき、〈1〉XらがYとの間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、〈2〉未払賃金並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
(2) 長崎地裁は、本件解雇は、光洋商事ないしその支配下にあるYからXら組合員を排除する目的で、法人格を濫用してされた不当労働行為であるから、労働組合法7条により無効であり、かつ、Yは、信義誠実の原則に照らし、光洋商事と別個独立した法人であるとして同社とXらとの労働契約の効力が及ばないと主張することはできないとして、XらがYとの間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求を認容するとともに、Xらの賃金及び遅延損害金の支払請求を一部認容し、その余の請求を棄却したため、Yが控訴したところ、福岡高裁は、原審を維持し控訴を棄却した。
参照法条 労働組合法7条
体系項目 解雇(民事)/解雇事由/(32) 企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更
裁判年月日 2016年2月9日
裁判所名 福岡高裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ネ)667号
裁判結果 控訴棄却
出典 労働判例1143号67頁
審級関係 一審 長崎地裁/平成27年6月16日/平成25年(ワ)第445号
確定
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/解雇事由/(32) 企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更〕
 Bは、光洋商事からXら組合員を排除する目的をもって、光洋商事の長崎での運送事業を廃止し、Xらとの雇用関係を除いた有機的一体として同事業を支配下にあるYに無償で承継させ、Xらを光洋商事ないしその支配下にあるYから排除し、実質的に組合員であるXらのみを解雇したものである。
 これは法人格を濫用した不当労働行為というべきで、光洋商事による本件解雇は労働組合法7条により無効であり、かつ、光洋商事の支配下にあるYは、信義誠実の原則に照らし、光洋商事と別個独立した法人であるとして、光洋商事とXらの労働契約の効力が及ばないと主張することはできないというべきである。
 したがって、Xらは、光洋商事との間の労働契約に基づき、Yとの間で労働契約上の権利を有する地位にあるというべきである。