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ID番号 09102
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 日本アイ・ビー・エム(解雇・第1)事件
争点 組合員の解雇の有効性および解雇の不当労働行為該当性が争われた事案(労働者一部勝訴)
事案概要 (1) 情報システムに関わる製品、サービスの提供等を業とする株式会社 Y(被告)に期限の定めなく雇用されていたX(原告)らが、業績不良を理由として解雇されたことについて、解雇事由が存在せず、労働組合員であるXらを解雇して労働組合の弱体化を狙ったものであって、解雇権の濫用として無効であり、不法行為に当たるとして、労働契約に基づく地位の確認、解雇後に支払われるべき賃金及び賞与等並びに不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用を請求する事案である。。
(2) 東京地裁は、本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないとし解雇は無効であるとする一方、本件解雇が組合差別による不当労働行為であるとは認めず、不法行為の成立を否定した。
参照法条 民法709条
民事訴訟法135条
労働契約法16条
体系項目 解雇(民事)/解雇権の濫用
労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 2016年3月28日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成24年(ワ)29095号
裁判結果 一部認容、一部却下、一部棄却
出典 労働判例1142号40頁
労働経済判例速報2286号3頁
労働法律旬報1867号45頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔解雇(民事)/解雇権の濫用〕
 (X1~X3の解雇について)現在の担当業務に関して業績不良があるとしても、その適性に合った職種への転換や業務内容に見合った職位への降格、一定期間内に業績改善が見られなかった場合の解雇の可能性をより具体的に伝えた上での更なる業績改善の機会の付与などの手段を講じることなく行われた本件解雇〈1〉~〈4〉は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである。
〔労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/(23)使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 解雇予告をされた者に占める組合員の比率から、本件組合を差別的に解雇予告したとは認められない。(略)組合員が非組合員よりも高い割合で自主退職又は解雇予告されたとは認められない。(略)よって、組合差別による不当労働行為であるとは認められず、不当労働行為であることを理由とする不法行為の成立は認められない。