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ID番号 09111
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 学校法人尚美学園(大学専任教員A・再雇用拒否)事件
争点 教員の定年後再雇用拒否の違法性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) Y(被告)の設置するA大学の専任教員として雇用されたX(原告)が、定年を満七〇歳とする合意が存在する、定年を満70歳とする労使慣行が存在する、あるいはYがXとの間で再雇用契約を締結しないことは権限濫用に当たると主張して、Yに対し、特別専任教員としての再雇用契約に基づく法的地位の確認を求めるとともに、再雇用契約に基づく賃金の支払を求める事案である。
(2) 東京地裁は、Xの70歳まで雇用される期待権を認め、地位確認請求を認容した。
参照法条 民法92条
民事訴訟法135条
労働契約法7条
体系項目 労災補償・労災保険/労災保険の適用/(3) 特別加入
裁判年月日 2016年5月10日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成27年(ネ)667号
裁判結果 一部却下、一部認容、一部棄却
出典 判例時報2325号129頁
労働判例1152号51頁
労働経済判例速報2282号15頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 〔退職/定年再雇用〕
 A総合政策学部においては、労使慣行として法的効力が認められるまでには至らないとはいえ、70歳まで雇用が継続されるという一定の方向性をもった慣例が存在し、70歳まで雇用が継続されるかという点では死亡退職と自己都合退職という例外があるものの、65歳の定年で雇用が終了とならずに、希望した者の雇用は継続されるという点では例外はなかったところ、これらの雇用継続に際して実質的な協議や審査が行われていたとは認められず、この点では、A総合政策学部の教員らが再雇用による雇用継続に期待することには合理性が認められる。
 従前の定年後再雇用の在り方等に照らし、Xが再雇用による雇用継続に期待することには合理性が認められる一方で、平成26年度に満65歳の定年を迎えるXについて定年後再雇用の可否を検討するに当たって、理事会で審議された内容は、従前の定年後再雇用の在り方とは全く異なっており、しかも、客観性ある基準に基づくものでも、具体的な事情を十分に斟酌したものでもなく、合理性、社会的相当性が認められないから、理事会がXについて再雇用を否定し、YにおいてXとの間で再雇用契約を締結しないことは権限濫用に当たり、違法無効というべきであって、解雇であれば解雇権濫用に該当し解雇無効とされる事実関係の下で再雇用契約を締結しなかったときに相当するものとして、XとYとの間の法律関係は、平成27年4月1日付けで再雇用契約が締結されたのと同様になるものと解するのが妥当である。