全 情 報

ID番号 09121
事件名 休業補償給付不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 国・池袋労基署長(ライジングサンセキュリティーサービス)事件
争点 警備員の脳内出血発症につき業務起因性が問われた事案(労働者勝訴)
事案概要 (1) A社で警備員として警備業務に従事していたX(原告)が、夜間勤務前の自宅で、脳内出血(左被殻出血)を発症したことにつき、本件疾病は業務による過重負荷を受けたことにより発症したものであるとして、C労働基準監督署長に対し、労災保険法に基づく休業補償給付の請求をしたところ、労基署長はこれを支給しない旨の処分をしたことから、Y(国、被告)に対してその取消しを求める事案である
(2) 東京地裁は、本件疾病発症について業務起因性を認め、Xの請求を認容した。
参照法条 労働者災害補償保険法12条の8第2項
体系項目 労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性
労災補償・労災保険/補償内容・保険給付/休業補償 (給付)
裁判年月日 2016年7月14日
裁判所名 東京地裁
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(行ウ)794号
裁判結果 認容
出典 労働判例1148号38頁
審級関係 確定
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険/業務上・外認定/(2) 業務起因性〕
〔労災補償・労災保険/補償内容・保険給付/休業補償 (給付)〕
 本件疾病発症前1か月間ないし6か月間におけるXの時間外労働は、発症前1か月間が148時間であり、発症前2か月間ないし6か月間のいずれの期間においても、時間外労働時間数の1か月当たり平均は139時間以上となるから(略)業務と発症との関連性が強いと評価することができる。(略)Xの時間外労働時間数は、業務と発症との関連性が高いと評価することができる上、労働時間以外の負荷要因を総合考慮すれば、原告は、発症前6か月間の長期にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められる。
 本件疾病の発症6か月前からの恒常的な長時間労働等の負荷が作用した結果、Xに疲労の蓄積が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、本件疾病を発症させたものとみるのが相当であり、その間に相当因果関係があるということができる。
 Xの発症した本件疾病は、労基法施行規則35条、別表第一の二第8号にいう、「長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病」に該当するというべきである。